ちょっとめずらしい?じゃず・レコード盤??? Vol.31

free jazz

僕がフリージャズを集めていた頃にはオリジナルに関する知識を当時多くいた先輩コレクターから教わっていた。とくに欧州フリージャズの初期はそのほとんどが自主出版でジャケットなど手作りジャケットも多い。それらの初期のフリージャズが再プレスされると初期ジャケットは消え別のジャケットにすり替わったのも多い。僕が80年代にフリージャズに夢中になった頃にはオリジナルを見る機会も多かったが、フリージャズのブームも去り時間がたつと、オリジナルに関する知識は消え去ってしまったようだ。そういえば多くの先輩たちもすでに還暦、ほとんどの人が引退された。そんな中で驚いたことは、最近フリージャズのセールで知り合ったコレクターが70年代の名盤と言われるフリー・ジャズのオリジナルについて全く知識がなかったことだ。セールでも再発盤にオリジナルと表示されていたり、反面オリジナルなのに再発盤の方が値段が高いなどおかしな事になっているようだ。ただし、今となってはどうでも良いことだが・・・さわり程度に欧州の大手レーベルの初期を見てみると
初期 FMP
0020〜0050番はレコードの取り出し口がカットされている。0060番はシルクスクリーンジャケット

0020番の「BALLS」のオリジナルは200枚限定。取り出し口がカットされている
0030〜0050番はバラで売っているがBOXセットでも販売されている。本来ならばシリアルナンバーが手書きで書かれているのだが残念ながら所有している2箱ともシリアルがない。ボックスの方はジャケットがないがポスターが付いている→

↓「KING ALCOHOL」の0060番はシルクスクリーンジャケットだがすぐに別のジャケットに替わってしまう

オリジナルは自主レーベルで後にFMPから再発された4枚はFMPの中でも特に人気が高かった

初期 I.C.P
001〜010番のほとんどは手作りジャケットおよび変形ジャケット

↑ I.C.Pの001番は全て異なるジャケット。今まで十数枚見ているが一つとして同じモノがない

↓009番も通常下のジャケット(紫のジャケ)がオリジナルとされているが、以前にも書いたが手作りジャケットが存在する。盤は同じである

初期 Incus
004まではスカイブルーのレーベル

思い出の free jazz

当時の思い出で残っているのはやはり苦労して(値段の問題ではなく)手に入れたレコード。

ウィリアム(ヴィレム)・ブロイカーに夢中になっていたときの最後の難関レコード
カゼ引き(砂)盤が多く4枚目にしてようやく手に入れたレコードだが最近はジャケットすら見なくなった
出そうで出ないIncus“AIDA”
日本のフリーもでなくなってきた。昔は欧州フリーよりもえさ箱で見かけたが

もしもフリージャズを追いかけていなければ相当なモダンジャズのコレクターになっていただろうとも思う
でも、フリージャズを聴くようになって音楽の幅が広がったことも確かだ(2010/1/29)

雑談

べつにコレクターを辞めたわけではないが、どうも更新する気にならないのは感激するようなレコードが手に入らないからという理由が一番。話題のない中で無理矢理の話題となると、ヨーロッパ盤をはじめとするオリジナル価格の話題かもしれない。オークションだけの価格しか知らない人は驚くかもしれないが、最近のオリジナル価格の下落はすごく、この業界にも不況の影響が出てきたようだ。先週もユニオンの恒例のセールで行ってきたが、今までと違い少しでも高いと思うレコード(特に壁の高額商品)は全く売れず、ユニオンも価格を下げざる終えないのだろう。朝並ぶコレクターもずいぶん少なくなったようだ。僕が購入したレコードはもちろん安いと思うレコードだけ


Sunday at the Village Vanguard / Bill Evans

「Sunday at the Village Vanguard / Bill Evans」このレコードはステレオ盤だけで4枚以上持っているが、正確には全て偽物でようやく本物を手にすることができた。リバーサイドの中ではオリジナル盤の入手が一番難しかったレコードの一枚。一部チリチリと出るが、今の時代100%満足のいくレコードを求めるのは無理があるのかもしれない。それほどオリジナルに執念を燃やしてどうするの?と最近は自分でも分からないので、コレクター卒業も近いのかもしれない。しかし不況のためかコレクターが減り、このレコードも値段がずいぶんと下がってきたと感じるレコードの一枚。今まではオークションなどに影響があるため、入手価格はなるべく書かないようにしていたが、最近のように値段が下がってくると、あまり影響もないと思うので書くと、入手価格9000円

BASIE

好きなレコードは同じものを数枚ずつ持っているが「BASIE」もステレオ、モノラルと複数枚所有している。もともと録音が凄いのでオリジナル・白ラベルの「BASIE」だったら音質は良いので気にすることがないのだが、オリジナルとなると綺麗なコーティングがあるジャケットで※ラベルのデザイン(ルーレットの球?)も少し違い、フラット・ディスクのガチガチな盤。(※ちょっとめずらしい?じゃず・レコード盤??? Vol.2参照)大量に市場にあるのでユニオンで出ても2〜3000円で入手できる。最近はオークションの方がやたら高いので時間がかかっても都内の人は中古レコード店を回った方が得かもしれない。ユニオンなどでもオリジナルを購入する人が減ってきて値段も下がってきているのが現状。ヨーロッパ盤も含めて今までが異常だったようだ。入手価格2500円

M. Davis with S.Rollins

そういえば同時に50%OFFセールもやっていて10インチの「M. Davis with S.Rollins」を手に入れた。ジャケットは少し傷んでいるが盤はピカピカ。これで7000円でも売れ残っていたので購入したが、これが現実かもしれない。最近の復刻版のCDやレコードが良くなっているので、レコードコレクターのオリジナル盤だから凄い音、良い音というのはウソになりつつある。それとともにオリジナルの価格だけが一人歩きした時代はすでに昔のことで、ヤフオクや業者に作られたオリジナルの価格が消えてしまうのも時間の問題だ。(もちろん傷盤は安いが基本的に傷盤は購入しないので・・・参考まで)(2010/3/4)

US買付品レコードセール

ユニオンは年に数回、海外(US、Europeなど)買付品セールを行う。これは海外中古レコード店などの倉庫買いが主で、ロックを中心として一緒に入荷したクラシックやジャズを各店に振り分けてセールを行うものだと簡単に想像できる。今回のセールも売れ残りというか、売れない理由のレコードが多いだろうなと思い足を運んだが、おおよそ想像通りであった。それでも珍しい10インチを30枚くらい抱えて検盤したが一枚も拾えなかった。しかし1枚12インチの「this is B.Mitchell」が大当たり!ミント状態で、所有しているものより綺麗なので思わず購入(2800円)。ゴミの中から宝石を見つける、これがセールの醍醐味であるからやめられない?
しかしテープ張り張りのボロボロジャケットでレコードも傷だらけのUS買付品レコードセールだったが、顔見知りの人が「今回は綺麗だよ」と行った言葉に驚いた。人によって感覚がとんでもなく違うようだ。まぁ、人それぞれだが、音楽を妨げるノイズが入るレコードの価値を認めていない僕からみると傷盤オリジナルよりも復刻版レコードかCDを選ぶと思う。
そういえばオリジナルに興味を持ち始めた頃、新宿や渋谷に「すみや」という映画音楽専門のレコード店があったが、ここもUS買付品レコードセールを定期的に行っていた。ジャズも少なからず入ってきて、当然のようにボロボロのオリジナル盤が多かったが1〜2000円と手頃な値段で、当時小遣いが少ない僕にはとても貴重なセールだった。そんな中で手に入れたノイズだらけの「nice 'n' tasty / J.Wright」を聞いていて、いずれはノイズの全くないオリジナル盤を買うぞ!と始めたのが今のコレクションであり、現在は9割以上ほぼノイズがないレコードである。
余談だが最近、都内のコレクターの中では、あまりよい評判をきかない店員が新宿ユニオンに移動になったようで、価格的に優良店である新宿ユニオンがどうなってしまうのか?が今の関心事。評判を落とさなければよいが、この世界は非常に狭いので悪い評判だと一瞬で噂が広がるコレクターの世界は恐ろしい。(2010/3/7)

初期盤

日本版のジャズ初期レコードは通称「ペラジャケ」と言われるものが多い。市場でも貴重版として値が付いているが今日の復刻版とは違い音質が劣るものが多い。当時は欧米ジャズレコードが出るだけで貴重で音質などは二の次という考え方と予想される。現在発売される復刻版は非常に音質が良くオリジナルと比べても遜色ないものになっているが、欧米ジャズ初期レコードの音質となると、残念ながらそのほとんどが「タダノ記録」と化している。ただしジャケットの作りや日本独特の別写真ジャケットなどは魅力ではあるが、音質だけを言えば今日の復刻版で聴かれた方が良い。

BARNEY
綺麗なものが出るとユニオンでも1万円という価格が付いていた時期もあったが、所有のレコードは状態が少し良くないので(擦り傷があり見た目良くない)2000円台と安く購入してきたが音は最悪で、それ以降でた廉価版再発盤で聴いた方が健全。ただしジャケットはオリジナルに忠実に作られていて魅力を感じるが大枚はたいて買うレコードではない。(ちょっとめずらしい?じゃず・レコード盤??? Vol.29参照

JOAO
オリジナルよりも写真の発色が良く新鮮。音質は意外と良く、オリジナルに比べわずかに高域をあげている様だが、じつはこちらの日本版の方が聞きやすい。日本初期版はポピュラー系の方がジャズ系よりも全体的に良い。理由は売れる数が一桁違い、当然商品価値も違うのでカッティングエンジニアもそれなりに気を遣っていたものと思われる。70年以降に発売になったロックやポピュラーの日本版で音質が極端に悪いというレコードは記憶にない。1000枚売れると大ヒットのジャズとは大違い。(ちょっとめずらしい?じゃず・レコード盤??? Vol.30参照)

余談であるが東京以外でのジャズ系のレコードが高いのは市場が通販しかないからなのか?あるオーディオ屋と組んで営業しているレコード店の価格(国内盤)の高いこと。ユニオンの5割から倍の値段が付けられている。同じ通販ならユニオンで値段を聞いて送ってもらう方が(通販もやっているので)得な場合が多いと思うが、大きなお世話だろうか?それともオーディオファンは小さな事は気にしないのかな?なにしろケーブル1本が数十万円の世界だ。オーディオケーブルで使われている銅などは金の数百倍の値段で、まさに現代の錬金術であり、また何の疑いもなく購入している強者がいる。メーカーはとてつもない利益を上げていることだろう。うらやましい次第である
ケーブルと言えばある知人がいた。5、6年前から高価なケーブルに魅力を感じたのか、このケーブルいいよと聴かせてくれるのはよいが凝れば凝るほどどんどんヘンナ音になっていく。当然短い周期でケーブルが変わっていくのだが、密かに思うのは、こんなヘンナ音じゃどんなケーブルを持ってきてもまともに聞こえるよなと思うが・・・ケーブルに凝る前に聞いた音が一番良かった気がする。今はお付き合いがないので書いてしまうが、ケーブルやアクセサリーに凝っている人は何かヘンナ音になっていることが多い気がするのは僕だけであろうか?(2010/3/12)

・・・・・ちょっとめずらしい?じゃず・レコード盤??? Vol.32に続く・・・・・