TAL
ヴァーブは難しい。何が難しいというとスタンパーがコロコロ変わり、音質もそれに伴って変わるのでブルーノートやサヴォイ、など他のレーベルと違い2ndを気軽にお薦めすることができない。短期間でこれほどスタンパーが変わるレコードも少ないのでは?理由はいまだに分からないが複数の委託会社があったのかもしれない
そのかわり、2ndの方が聞きやすい場合もあるので、オリジナルばかりが良い訳でもなさそうだ。不思議なことにTヴァーブになると突然同じスタンパーを使い続けることになる。
さて、僕の愛聴盤の「TAL」も短期間でスタンパーが変わる1枚。タル・ファーロウの代表作であるこのレコードは、とくにエディ・コスタのサポートが素晴らしく、僕的にはピアノの音質が気になる1枚。数枚あるタル・ファーロウとエディ・コスタ絡みはこのレコードがベストで、とくに硬質で独特のコスタのピアノに関してはセカンドの方が好ましく、安く出ていれば(オリジナルの5〜60%程度)お奨めの1枚。ジャケットは両方とも同じで黄色のラベルがオリジナル
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EVERYBODY DOGS / BILL EVANS
昔は食事も抜いてレコードを買いあさっていたが、当然のようにお金はなくモノラル盤が欲しくも横目で見ながらステレオ盤を泣く泣く買っていた。当時ステレオ盤はゴミみたいな値段でも買い手がなかったが、聞いてみると意外と良いものも多い。当時先輩コレクターに聞くと「ステレオ?」とバカにするように・・・しかしステレオ盤を聞いたことがない?人が多く先入観でステレオを語っている人も多かった。
さて、リバーサイドのステレオの評価は2つに割れる。良いものは素晴らしいのだが悪いものは疑似ステみたいな変なステレオ空間でその中間が殆どない。そんな中、お薦めできるのか?出来ないのか?不思議なレコードが「EVERYBODY DIGS」のステレオ盤。このレコードは人気盤だがステレオ再生機器によって評価が分かれてしまうようだ。理由は解らないが、面白いレコード。さぁ、あなたの機器での評価は?
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秋吉敏子
ここ数年、日本人ジャズレコードは人気があり、セールともなると朝から十数人並ぶことも珍しくない。しかも数万円は当たり前の世界で、ベテランのレコードコレクターはペラジャケ日本盤のこんなものまで高い値段がついていることに驚くことだろう。集めている人には悪いが、名盤と思われる日本盤は意外と少なく、そこは流行で、ペラジャケであれば何でも売れるようだ
昔といっても10年ほど前までは一般中古店でもペラジャケ日本盤は結構転がっていて、しかも安く、今考えると非常に残念であるがキング・ペラジャケの「Helen Merrill in Tokyo」などは4回ほど買ってすべてフリージャズなどとトレードしていた
そんな日本盤の中でも、とくに僕に縁のないレコードがニッポンディスク?(レコード)の秋吉敏子である。タクトジャズシリーズで音源は聞くことが出来るが本物には出会ったことがなく、最近の日本盤ブームでますます入手が遠のく感じだが、オークションにサンプルが出ていて思わず入札。落札したは良いが肝心のタクト盤も昔、トレードしていてこのサンプル盤も本物かどうか解らずにいる・・・が、こんなに音が悪かったかな?
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←当然のようにジャケットなしのサンプル盤。
↓この他、「Lullabies for you」もサンプル盤で入手まぁジャケットが好きで買ったようなもんだがこんなものに大枚をはたくなど流行に踊らされているのか?物好きとしかいえないまだまだ懲りない中年コレクターである
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SPACE / MJQ
MJQのなかでも異色作である「SPACE」はビートルズのアップルレーベルから発売され、その珍しさから話題になったが、肝心の演奏はジャズファンには受け入れられず、MJQのレコードとしては売れなかったのではないかと思う。僕も普段は全く聞かず年に数度聞くだけ。気温も下がらない真夏の夜、明かりを消して少し大きめの音で聞くと不思議な空間が現れる。冷たい温度感のその空間はまとわり付く暑さを忘れさせてくれる。まだ自分の部屋にエアコンのない時代であったが、夏になると引っ張りだして聞く習慣は未だ変わっていない。しかしその不思議な空間から普段のMJQを見つけると少しこのレコードを好きになるかもしれない。
さて、このレコードはアメリカ盤をよく見るが案外イギリス盤を見かけない。MJQの緻密な音を聞きたいのなら断然UK盤である。コーティングジャケットもいUK独特のもので、ダブルジャケットの内側の折り返しなどレコードコレクターにはたまらない作りで、音質とともに大雑把な作りのUS盤を遥かに超えている。残念ながらジャズ的にはお薦めできない(とっつきにくい)レコードでもあるが、人気がなく安いので一度聞いてみるのも良いかもしれない。面白いことに、このUK盤3000円以内で見ることが多いが、ロック売り場では5〜6000円で見ることがありアップルレーベルのUK盤オリジナルということで値段が付いているようだ
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BARNEY WILEN
バルネ・ヴィラン代表作である「barney」は市場で見ることも少なく長い間、幻のレコードとして珍重されていたが最近、中古廃盤店や個人輸入などの努力?(販売意欲?)で数多く輸入され昔ほど珍しくはなくなってきた。持ってるだけで自慢できるレコードだけに「barney」を所有しているコレクターは高値安定を望んでいるだろうが、徐々に高値では動かなくなっているのも事実。さて、コレクターはこのような高価な買い物を正当化するために再発盤との些細な音質の違いでもまるで別世界の「音質」であるかのように言うのはオーディオファンが高価なケーブルを取り替えた時と一緒のように思える。
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輸入盤CDの「barney」は大手レコード会社、仏RCAのマスターテープ管理が良かったのか音質はオリジナルの音質に劣っているとは思えない。まして音質に限って言えば値段の差などないとはっきりと言える。しかもCDでは「barney」の続編、「More from barney」も満足行ける音質で聞くことができ大変お得。これでは再発盤が悪いと言っているコレクターが信じられなくなるのも無理はない。レコードにしてもCDにしてもよく出来ている物は多く例えば米ファンタジーが発売した初期OJC(Original Jazz Classic)シリーズや米VSOPなどオリジナル盤に劣らない音質のレコードがおおく市場にある。
注意していただきたいのは小型システムでの再生はCDとオリジナル盤の音質差が感じられないが大型システムになると事情が変わり、このように良く出来たCDでも比べると輪郭が明らかに崩れる。しかし、比べてみなければ立派な音質
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BMG FRANCE 74321454092
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BMG FRANCE 74321544222
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LIVE! / MONTREUX ALEXANDER
オーディオファンは必ずと言っていいほどクラシック、ポピュラー、ジャズなどの調整用のレコードを2、3枚たいてい所有している。僕の場合JAZZレコードとして長年多用しているのが「MONTREUX ALEXANDER LIVE!」。
このレコードは録音優秀盤で、しかも素晴らしく内容が良いにもかかわらず、値段が安いので今までに少なくとも10枚以上は買っている。70年以降の再生を目的としているレビンソンの調子を見るには、僕的には最適なレコード。(そのほとんどは知り合いのオーディオファンに差し上げたが、まだ2、3枚は段ボール箱に残っているはず。)購入値段は昔から1000〜1500円以内だが、なぜか?大きな値段の変動は無い。ピアノトリオのライブ録音でドイツ独特の透明感がうまく詰め込まれているが、ECMのような冷たさは無く、それでいてピアノの力感が素晴らしい。オーディオ的に言うと「ハイスピード」という言葉になるのだろうが、この訳の分からない曖昧な表現が僕は大嫌いで、オーディオが面白くなくなってきたのも、この言葉が雑誌で多用されるようになってから・・・おっと話が違う方向に・・・
とにかく、このレコードで透明感と力感や会場の雰囲気が思うように出てくればレビンソンの最低のレベルは出ていると判断している
「MONTREUX ALEXANDER LIVE!」は中古屋に出ると安いので購入して聞いてみる価値あり、面白いことにオリジナル盤もセカンドも日本盤も約1000〜1500円均一。オリジナル盤の見分け方はヨーロッパ盤独特のコーティングジャケット、セカンドはコーティング無しでレコードラベルも少し印刷が薄くなるが、スタンパーは同じ。(日本盤は分かるよね
思い上がりかもしれないが、このHPでレコードを取り上げると、価格に少し影響するみたいだ。本来は安く良い音のレコードの見つけ方を紹介する目的もあったのだが、例えばインパルスのセカンドなど見向きもされなかったレコードに2〜3000円の値段がつくようになったのは(レビンソンが値上がりしたのも)このHPが悪いのかもしれない。こうなるとなかなかレコードを気軽に紹介できなくなるなぁと少し反省している
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mode
特徴あるジャケットで人気のあるmodeレコードは数も少なく、そのほとんどが手頃な値段で比較的入手しやすいため、すべてを揃えてみたくなるシリーズ。僕も一時的にハマッたが、シリーズすべてを揃えているコレクターも多いと思う
現在は好きなレコードだけ所有しているが、それでも十数枚はあるのかな? しかし困るのは愛聴盤がシリーズ後期の番号で「風邪ひき盤」であること。「風邪ひき盤」は以前にも説明したが、粗雑な剥離材を使用したためスタンパーからビニールがうまく剥がれずに細かい凹凸が出来、それが原因で針を下ろした瞬間から上げるまで常にザーザーとノイズが出る。カセットテープのヒスノイズみたいなもの? このノイズはレコードによって違い(プレス毎に?)風邪ひき程度が軽いものから重いものまで様々。カートリッジ選択でもある程度は解決できる場合もあるが、無音にするのは無理。コレクターになるとノイズの軽い物を探しまわることになる
現在はそのような苦労することも無く米VSOPや日本盤など比較的音の良いレコードもあり快適に聴くことも可能である
しかし、コレクターが、それでもオリジナルにこだわる理由は・・・ノイズも聞こえなくなるほどの「音質」にある・・・音楽が始まった瞬間、ノイズは消えてしまうのだ(←事実?)と書くと増々バカにされるのかも
コレクターの本音を言うと中古屋を歩き回り、高いお金を出し苦労して入手したコレクターの言い訳かもしれない
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愛聴盤の一枚。LUCKY LUCY ANN (MODE-LP 115) このレコードは数は少ないが「風邪ひき盤」で無いレコードも存在する |
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BOP(MODE-LP 127) MODEの中では一番好きなレコードだが残念なことに「風邪ひき盤」しか存在しない。それでも数回買い直し一番ノイズの少ないものを所有しているが、出会う機会があれば、また購入して聞き比べると思う。現在モノカートリッジを10個前後所有しているがカートリッジでノイズの出方が違うのは微妙にチップの接触する場所が違うから? |
WE THREE
ヤフーのオークションはレコード・コンディションが出品者の評価では判断できず、今までにずいぶんと泣かされている。しかし、最近の入札では満足度100%!!・・・理由は入札目的がジャケットのみの為である。ジャケットは掲載写真で判断できるためにレコードと違い気軽に入札でき失敗は殆どない。
以前から気になっていた「WE THREE」。最近、盤はVGだが綺麗なジャケットの出品があり、早速落札。差し替えが成功した次第。「WE THREE」は10年以上も昔、ジャケ無しで餌箱に入っていて、その後セカンドジャケットに入れるが気に入らず、ジャケットだけを長い間探し続けていたものである。
このようにジャケ無しで売られていたオリジナル・レコードは昔はたくさんあり、「WE THREE」以外にもブルーノートやプレスティッジなど10枚以上ジャケ無し状態で所有しているが、ヤフオクという便利な市場を得ても、ジャケットだけを探すのは10年以上かかるだろうな。不思議と僕が出会ったジャケ無しレコードは状態が非常に良く、キズの入った盤はほとんど見た事が無い。値段もすべて1000円前後であり、格安で入手できる。僕自身の中でも一番の収穫はブルーノートの「HANK(2nd?)」(購入価格1100円)であろう。バブル以降はめったにこのような話は聞かなくなった
「WE THREE」はヴァンゲルダー絶頂期の録音の一枚で、演奏とともに名盤になる要素をすべて持ち合わせている。当時のピアノトリオの楽しさが満喫できるはずで、ぜひオリジナル盤を一度は聞いていただきたいお薦めのレコード。
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オリジナル・ジャケットはプライスが印刷
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セカンド・ジャケットの色合いはオリジナルに比べ少し緑がかってはいる。写真はオリジナルよりも繊細
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↑「NEW JAZZ」はセカンドジャケットでも溝ありオリジナル盤が入っているものが多く、お買い得の場合が多い |
↑上の「HANK MOBKEY SEXTET」もジャケットだけ捜すのは困難? |
HOT & COOL / DEXTER GORDON
「欲しいレコードが無いでしょ」と、よく言われるがそんな事は無い。物欲な僕はいくらでも欲しいものはあるが、このレコードは(もちろん演奏内容からいって)この値段以上では絶対に買わないという変な信念?を持っている為に、今まで買い逃したものは多い。小遣いが年々激減している僕にとって「自分なりの価値?」を持っていると案外すんなりと諦めがつき、後悔する事も殆どない。
「Hot & Cool」は何回か出会ったがとても高価だったり、キズがあったりで購入してはいない。しかし買い逃したレコードもオリジナル盤じゃないと聞く気にならないという事はなく、(そのような時には別にCDや日本盤でも良いのだが)そこはコレクターなのか?同時期に発売されたようなヨーロッパなどのレコードで聞く事が多い。オリジナルと同時期発売のヨーロッパ盤はスタンパーが同じ事が多いし、音質的には緻密な音質の場合も多く、またジャケットの作りも丁寧なところが魅力である。僕が所有している「Hot & Cool」は仏の デュクレテ・トムソンという(ズートで有名な)レコード会社から出たもの。スタンパーはオリジナルとは違い、直接聞き比べた事は無いがリアルさという点では、やはりオリジナルの方が断然良いと感じる。しかし独特の透明感があり録音の古さを感じさせない音質が面白く、オリジナルを入手しても手放さないレコードかもしれない。僕がレコードを集め始めたときはオリジナル・スタンパーのヨーロッパ盤は非常に安かったのに最近は・・・これも流行かな?
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