ちょっとめずらしい?じゃず・レコード盤??? Vol.18

SPIRITUAL UNITY / ALBERT AYLER

ESPのアイラー「SPIRITUAL UNITY」ほどジャケット・デザインが同じで色違いのジャケットがたくさんあるレコードも珍しいのではないのだろうか?ヤフオクでも3rdや4thプレスまたは6、7thあたりのプレスを激レア!オリジナルと書いてある見だしには笑うしかないが、本物がそれほど多く日本に存在するとは考えられない。
オリジナル盤は白ジャケットに薄茶色の塗料を塗って、その上に赤のシルクスクリーン印刷がしてある手作りジャケット。裏もシルクスクリーン印刷。本作品は正規発売前の通販のみの販売らしく裏ジャケットの右下に「This pressing is a special pre-release edition numbrering 200 copies. 〜serial number 116」と書いてある。本来だったらアイラーの自筆サインが入ったコピーが1枚入っているはずであるが所有のレコードは残念ながら欠落している。さてこのレコードはアイラーの自筆サインだけでは終わらない話題がある。このレコード1stプレスのみB面の「SPIRITS」に全く違う曲が入っている。。最近のCDで「SPIRITUAL UNITY+1」となっているのは(確認していないが)この最初入っていた曲だと思う。すぐに間違ったスタンパーが差し替えられ、おそらく2ndプレス(黒地のジャケットのシルク印刷?)では本来の「SPIRITS」に戻ったと思われる。以後のレコードにはB面のみ「Bellsound」のマークが入るが片面にしか「Bellsound」の文字がないのにはこういう理由がある
「SPIRITUAL UNITY」は今となっては古典フリーというよりもモダンに近く初心者にも聞きやすいジャズで赤ラベル以外の溝あり文字ラベル(6、7thプレス?)やオレンジラベル(10th以降?)のあたりまでは音質が非常によく一度聴いてみても面白いと思う。今聴くと、きっとフリーとはあまり感じられないだろう。アイラーの最高傑作で、このレコードで完璧なアイラーの世界を体験出来る

左の薄茶色のジャケットがオリジナル「SPIRITUAL UNITY」である。ジャケットの周りは塗り方?が雑で剥げているように見える完全に手作りジャケット。右の白地のジャケットは3、4回目のプレスで以後は赤ラベルから文字のラベルに変わったりオレンジや白ラベルだったり、ミゾがあったりで何回再プレスされているか解らない。

ジャズとは関係ないけど 〜江口寿史〜

レコードとは無縁のイラストレーター江口寿史ってご存じでしょうか?「ストップ!!ひばりくん!」や「すすめ!パイレーツ」を書いていた漫画家でもあります。この人の描く女性の曲線美はゾクゾクするほど美しく男性が理想とする女性像なのかも知れません。デニーズなどでもメニューに使われたり結構身近なところで江口寿史のイラストを目にしますが、欲しいと思いながらもなかなか集められずにいました。先日ヤフオクを検索すると・・・購入してしまいました。レコードとフィギュア、レコードは24枚のイラスト付きでフィギュアはお菓子のおまけ。(以前アグネス・ラムの復刻写真集をエロ写真集と勘違いされ捨てられた経験がある)嫁さんには言えないけど・・いいよなぁ〜江口寿史のイラスト・・エロじじぃの戯言でした

・・・で、立花はじめって誰??(汗)

24枚の中の「ストップ!!ひばりくん!」のイラスト・・・懐かしいなぁ

Do Nothing 'Til You Hear From Me

高価ではないがなかなか入手出来ない隠れ人気盤がある。そのようなレコードが限定発売で再発されると(あちゃ〜!困った。入手できていない)と思うことが多い。それほど廃盤市場に影響を及ぼすのだ。特に裏名盤として宣伝されたなら目が飛び出るほど値段が跳ね上がり、密かに狙っていた自分だけの名盤と思っていたレコードは、実は皆も狙っていたものだと思い知ることが出来る。「Do Nothing 'Til You Hear From Me」も限定発売されたとたん入手困難になった1枚である。リバーサイドはモノ、ステ盤の蒐集をライフワークにしている僕にとって、その時点でステレオ盤が入手できていない。後期のリバーサイドのステレオ盤は意外と良い録音に当たるので楽しみにしていた1枚であるが再発盤で出るとコレクターや新人コレクターの興味をそそり、一斉に探し出すという困った習性がある。運良く出くわせたときにはモノラル盤の入手価格の倍の値段が・・・唖然としたが店員の「なかなか出てこなくなりましたね」の言葉に負けて購入してしまった。しかし、この頃のモノラル盤はステレオ・ミックスの場合が多く1枚1枚確かめなければならない。全ては最良の音で聴くための努力だが、最良のソースで聴くことがオーディオマニアの最高の贅沢ではないだろうか?オーディオマニアはケーブル1本に注ぐ努力をするのに何故レコード1枚に拘れないのだろう?

肝心の音質の比較はやはりステレオ盤の音質の方が自然。モノラル盤もすこし音像が膨らむが悪い音質ではない。このレコードはたぶんステレオ録音されモノラル盤はミックスダウンされたもののように思う。このように5、60年代の素晴らしい音質に出会える機会はハード的にもソフト的にも僕らが最後になるのかも知れない

Willem Breuker Kollektief (2004. 10/15〜新宿ユニオン・ジャズ館〜)

ウィレム・ブロイカー(本当はヴィレムと読むらしい)と言ってもモダン中心に聞いている人の殆どは知らないだろうが、フリー・ジャズでは大物人気ミュージシャンの一人である。Willem Breuker Kollektief率いてからはジャンルを越えた演奏を行い、僕もこの人のレコード・CDだけは未だに聞くし、ほぼコンプリートで所有している大好きなジャズミュージシャンである。
東京のレコード店・新宿ユニオン・ジャズ館では時々ミニ・ライブを開催する。今まで何回か開催されているが、ミュージシャン的に僕自身あまり興味がなかった。まさかその場所でブロイカー・コレクティーフが演奏するとは思っても見なかった。というのもユニオン1Fは10坪前後。店内の什器を片付けても5、6坪のスペースしか出来ない。その中でブロイカーの一団が入って演奏するなど想像も出来ないのは当たり前で、ライブ整理券配布中!!との小さな張り紙を(整理券はもらったが)まだ信じられなかった。当日20分前にユニオンに行くとブロイカーとその一団(9人)が店内に・・・どうやって聴かせるのかな?と思っていたらブロイカー一団が円を作りその中に整理券をもらった幸運な人(十数人)が円の中に・・・それ以外の人は店外で聴くこととなり、僕は幸運にもブロイカーの足元に座ることが出来、彼のサックスからは30cmも離れていなかった。オーディオでいうマルチチャンネルの世界かも知れないが、四方八方から飛んでくるWillem Breuker Kollektiefの演奏をシャワーのごとく浴び、ブロイカーの音色に酔いしれた30分間は短かった。たぶん整理券をもらって中に入れた幸運な人たちはその時間世界で一番幸せな人たちだったのかも知れない。Willem Breuker Kollektiefの面々も足元まで人が溢れかえっている熱気からか素晴らしい演奏を聴かせてくれた。新宿ユニオンの粋な計らいに感謝。

Willem Breuker Kollektiefの演奏は約30分短くアッという間に終わってしまったが幸せな時間を過ごせた。このような聴き方を出来るのは最初で最後だろう。もちろん昔からレコードで追っていた憧れのプレイヤーでは・・・

ニコン・クールピクス990を久しぶりに使ったが、やはりこのデジカメは使いやすくて僕は好きだなぁ

レコード蒐集家

毎日毎日レコード屋に行って「買うものあるの?」と聞かれるが95%以上手ぶらで帰宅することになる。しかし大物は無くても小物、たとえばドイツ・パブロ盤など手頃な値段で落ちていることも多く、やはりレコード屋を日参していないと気持ちが落ち着かない。最近は極端に少なくなったが大物も年に1、2回拾うことがある。ここ数年ではグルフィンの「STUDIO JAZZ PARTY・RLP338」が3500円、マイルスの「DIG・PRLP7012」は3800円で西新宿のロック屋に、ともに盤質良好で捨てるように?置いてあった。ところが超大物となるとこの数十年で数回しかない。

15年ほど前に仕事で大阪で4年ほど暮らし、その後、約1年間は東京〜大阪を1週間おきに往復していた。時間を無理に空けて梅田、難波を中心として中古屋を回っていて時には神戸まで足を延ばしていた。その時には東京と価格差が結構あり安く手に入れた廃盤も多かったが大物は少なかった。絶対数が東京とは違うのかもしれない。そんな中で下のレコード(LET'S KEEP THE MESSAGE / BENT AXEN)をROCK系の中古屋で見つけ驚いたが、それでもROCK屋としては高価な値段(4,800円)を付けていた。昔からデンマーク・デビュー自体なかなか出てこないレコードである。当時、東京でコレクター仲間が週末に獲物を見せ合う会合があり、ある喫茶店に集まっていた。収穫を見せると大阪には宝石が沢山ありそうだと思ったみたいで仲間数人で遠征に行ったが、あるわけがない。この他、タンパのペッパーを阪神デパートのレコードセールにて4000円で見つけた。この2枚が大阪での大きな収穫になったがインターネットの発達した現在、このようなことは殆ど無くなったみたいで話は聞かない。

The Magic of JU-JU / Archie Shepp 〜その2〜

どうもインパルスも企画番号通りに発売していないみたいで9150番台あたりでオレンジラベルと赤黒ラベルが混ざっているようだ。シェップのJU-JUでは赤黒であるのに1番後の9155のアイラーはオレンジラベルである。不思議なのは9155のアイラーにはモノラル・レコードが正規に発売されているのに9154のJU-JUはモノラル・レコードに出会ったことがない。下のレコードのようにサンプルラベルにはモノラル・レコードが存在するのに・・・過去に僕の周りのコレクターがさんざん探したが正規発売のモノラル「JU-JU」は見つからなかった。どなたかお持ちになっているのだろうか?このレコードは最近オークションで手に入れたレコードだが、10年以上前にに手放した同じJU-JUのサンプル盤はデザインが少し違ったような気がするが記憶間違いであろうか?

さて67年頃の録音となると、おそらくモノラル録音はされていないと思う。このレコードもステレオ盤の音質、バランスとともにモノラル盤よりも自然であるように聞こえ、モノラル盤はステレオ・ミックスの可能性が高い。また、この頃からモノラル盤はモノラル・カッティング・ヘッドを使わずにステレオ・カッティング・ヘッドでカッティングしているレコードも現れるようだ。そう言うレコードはモノ針で聞くよりもステレオ針で聞く方がよく聞こえるので1枚1枚確かめることも大事である。注意していただきたいのはステレオ・カッティング針で切られたモノラルレコードに(何が何でも頑固に)昔のモノラル針を使うと(縦振動の音溝が削られてしまうので)かえってミゾを痛めることとなる。この場合は最新のモノ針を使うことをお勧めする。ステレオ・ミックスやステレオ・カッティングのモノ盤が混在するこの時代はまさに「The Magic of ・・・」である

歌姫

新しい部屋でオーディオ調整する場合、クラシック・オーケストラで全体的なバランスを整え、次にヴォーカルで徹底的に自分の気に入った理想の音質に近づける。何故ヴォーカルを使うかというと普段、楽器などにあまり接することがないために(本物の音を感覚的に理解しないまま楽器の音で調整すると)とんでもなくデフォルメな音となりやすい。しかし人の声だと普段聞いているので理想的な音を求めて調整しても感覚的にそれほど外れることなく音質を磨ける。という理由から最終的に理想的な質感が出るまでヴォーカルアルバムを聴き続けオーディオ調整するが、隣の部屋の人はたまらないだろうな

世界の歌姫と言えばマライア・キャリーだと昔誰かから教わったことがある。騙されたつもりでLPを購入してみたら、なかなか声質が良い。時期が時期なので自宅から持ち出して調整用に使っているこのクリスマスアルバムはCBSにしては録音がイマイチ。デジタル時代になりLPの音質がCDよりも落ちる場合があるのでCDで聞くべきものかもしれない。もう一枚、最近ユニオンなどの新譜コーナーに飾られているジャズ界の歌姫ダイアナ・クラール。こちらの録音は楽器と声のバランスが気に入らないが声の質感は抜群で、しっとりとした大人の時間を歌い上げている。たぶん、新しい部屋であと数ヶ月間、新旧取り混ぜてヴォーカルLPを聞き続けることになるが簡単なようで難しい理想の歌声を得るにはまだまだオーディオ修行が足りないのかもしれない

新春・雑談

みなさま、あけましておめでとうございます
僕がHPを始めてから3年経ち、心なしかオーディオ店でも中古レコード店でも「音源」について意識する人が増えてきているようです。あるレコードバーゲンでマイルスの「ステレオ盤・someday my prince will come」を検盤している人が店員に「これってモノラルよりもステレオの方が良いと聞いて買いに来たんだ。入手出来て良かったよ!」と僕の横でうれしそうに言っていた初老の紳士の言葉が強く印象に残っている。この3年間で僕のしたこと、ほんの少しは意味があったのかもしれない。逆にオーディオではLNPのことをそんなに書かないでというお叱りの言葉を受けた。理由はLNPの値が上がったのはモアさんの影響が大きいと言うのだ。僕のHPくらいではそんなに影響は無いはずだと思いつつもLNPの相場がこの1年でジリジリ値が上がりしたのも事実。少し反省している。

インターネットが普及して莫大な量の情報が手に入る現在、メディアの情報がどこまで本当か?大部分の人が判断できるようになり、特に日本のオーディオ界を先導してきた「STEREO SOUND」の情報が、近年ただのカタログ誌に思えてきたのは僕だけではないはずだ。業者との癒着?とも噂されるオーディオ評論は有名掲示板でことあるたびに取り上げられるほど、真実を伝える評論家がいなくなったのか?オーディオ評論記事が無意味、無価値なものとなり、役割の殆どを終えたように思える。
古い「STEREO SOUND」開くと今よりも機器は粗末だが、この人絶対によい音で聞いている!と感じる写真が多いが、近年のオーディ雑誌では高価な機器を並べているだけの部屋が多くなり、よい音と感じる部屋が極端に少なくなった。オーディオも人に自慢する「ただ持っている自慢」よりも自分が最良の音質を得るために所有すべきだと思う。

僕は5、60年代の録音は例え技術が進歩したとしても初版のレコードの音質を抜かせないと思っているが、海外では本気で傷んだテープをデジタル?修復して初版に近い音質を出しているレコード会社もあり、昔ほど音質の差を感じなくなっている。日本でも耳の良い優秀な技術者がリマスタリングしたレコードが発売されているが昔のキング盤を抜かせないのは何故だろう?やはりマスタリングする技術者の感性の違いかとも思う。
オリジナル盤に関しては、確かに綺麗な人気盤は高価だが、最近の良くできた一部の海外のレコードの音質を考えると値段の差が本当にあるのだろうか。オーディオにしてもレコードにしてもメディアに影響されないで真の価値観を自分自身で見いだして欲しい。

今年1年どのような年になるのか?予想はつきませんが、少しでも皆さんのお役に立つようなホームページであるよう努力したいと思います

平成17年 元旦

One Flight Up / Dexter Gordon

パリでの録音で、もちろんバンゲルダーの録音ではないが出来上がったレコードは見事にブルーノートの音そのもの!でバンゲルダーはカッティングのみだが、この時期あたりまでがいわゆるバンゲルダー・マジックのある意味頂点だったのかもしれない。それまでのブルーノートでは味わうことの出来ない独特の緊張感は、ヨーロッパ特有の繊細な録音とバンゲルダーの粘り、力強さがうまく融合してレコードとなり、緊張感をさらに増幅させたようだ。もしもバンゲルダーがこの録音に関わっていたら、スタジオの繊細な緊張感まで録れたかどうだか分からない。このレコード自体あまり話題にはならないがブルーノート・バンゲルダーの「ブルーノート後期のカッティング」としてはピカイチだと思っている。バンゲルダーマジックが発揮された最後のレコードで、この後ステレオの普及とともに、急速にバンゲルダーの存在感が薄くなっていく。またジャケットも「JAZZはジャケットで買え!」の最後のブルーノート。バンゲルダーがカッティングだけに関わったこのレコードは残念なことに、バンゲルダー刻印のオリジナル・スタンパー以外にこの独特の緊張感をうまく表現できない・・・と思うのは僕だけかもしれない

70年代に入り、日本のオーディオメーカー(パイオニア)がバンゲルダーにカッティングを依頼して作ったレコードがあったが、そこにはバンゲルダー・マジックなど存在せずただ日本的な妙に平凡な音だった記憶がある。

・・・・・ちょっとめずらしい?じゃず・レコード盤??? Vol.19に続く・・・・・