ちょっとめずらしい?じゃず・レコード盤??? Vol.10

珍盤?Alfredo Remus

やはりベースは楽器的にジャズでは主役になりにくいのか?ベーシストのリーダーアルバムには名盤と言われるものはそれほど多くない。ジャズタイムの『スピーク・ロウ』やブルーノートの『アス・スリー』などベースの演奏が際立っている名盤もあるが、いずれもピアノがリーダーである。しかしこの2枚、グイグイ来るベースに魅力を感じている人も多いと思う。ところがこのようなベースの魅力あふれるレコードがアルゼンチン盤で存在する。中古屋でごく希にに出てくるAlfredo Remus(b)リーダーのレコードはベースがグイン!グイン!とくる好盤である。変則的なトリオ(bass,sax,drums)であるが上の2つに匹敵する快演盤かもしれない。アルゼンチンのこのレコード、日本に入ってきた数はそれほど多くないと思うが知名度が低いために案外安く、最近でも中古量販店で数回見ているが数千円止まりなので安く見つけたら購入して聞いてみる価値は十分にあると思う。このレコードについてはよく判らない。(というか解説が読めない)アルバムタイトルが『The Best of Alfredo Remus』だが、いわゆるベスト盤・編集盤ではなく普通のアルバムである

果たして『SPEAK LOW』『US THREE』と匹敵するような名盤になるのか?

印刷ミス

5、60年代アメリカのレコードは適当な物が多い。日本だと考えられないがジャケットの印刷ミス、とくに色ずれなど平気で発売してしまう。マイナーなレコード会社が多いので仕方ないのか?盤もジャケットも品質管理は滅茶苦茶である。
今のコレクターは盤質よりもジャケットの質を優先する人が多い。特に底抜けや角落ち、落書き、シール、テーピングなど極端に嫌う傾向がある。もちろん印刷ミスも論外ではない。ところが私みたいに盤質をなによりも優先する人間にはラッキーである。流通価格の数分の一で盤質の綺麗なオリジナル盤が手に入る。ジャケットは後で綺麗な物を手に入れようと思いこの手のレコードを購入してきたがジャケットだけ綺麗な物は少ないし出てこない。しかも安い安いと購入して印刷ミス・ジャケットが10枚以上・・・「いつか入れ替えればいいや」と思っていたが世の中そんなにうまくはいかない。(涙)


カメラのブレではない、印刷ずれで見にくい


こちらも印刷ずれ、ロゴが二重になっている

ライムライト

モダンジャズで変形?ジャケットはそれほど多くはないが米・マーキュリーで出した(初期の)ライムライトのシリーズは凝った作りのジャケットが多く楽しい。ダブルジャケットを開くと色々工夫してあり、まるで飛び出す絵本を見ているような気分になる。しかし困ったことに我々コレクターにはジャケット保護のためにビニールで包むクセがあり、このシリーズだけはどうやって包もうか?いつも頭を悩ませる。ダブルジャケット用のビニールを切ったり貼ったりしながら保護と見た目を重視し一日がかりで包んだ記憶がある。今現在は面倒くさい包み方はしないが当時コレクター同士で見せ合うのに必死でそんなことをやっていたような・・・
このライムライトのシリーズは意外とステレオ録音が素晴らしくヘタに高価なモノラル盤を聴くよりも楽しく聞ける。親会社であるマーキュリーのクラシックにおける当時のステレオ録音技術は現在でも高い評価を維持しているがポップスにおけるライムライトのシリーズも素晴らしい録音である。人気シリーズのローランド・カークのステレオ盤は入手しやすく、それほど高価でもないので一度マーキュリー(ライムライト)のステレオを楽しむのも良いと思う。
録音としてはRVGもやっているがカッティングには関わっていないようだ。ヴァンゲルダー・マジックと言われる彼のカッティング技術よりもマーキュリー・スタッフのカッティング技術の方が凄いと感じるステレオ・レコードである

ライムライトのシリーズよりも早い時期のマーキュリー・ラベルのステレオ録音も他のレーベルに比べて極端にハズレが少ないように思う。初期のステレオ録音では音がやせて聞きづらい事が多いがマーキュリー・ステレオ・レコードはモノラルと何ら変わることのない太い音を出す。ただし初期ステレオ録音ではジャズの場合、楽器編成が少ないせいなのか?音場感という点ではまだまだ未熟ではあるが・・・
(*ステレオ盤は安価で購入してきたために気にしなかったのですが下のラベルは2ndの可能性があります)

Thelonius Monk

モンクのレコードは数多く出ているがなかなか市場に出てこないコレクター泣かせのレコードも存在する。ちょっと〜vol.1に書いた『MONK IN TOKYO』などはモンク・オリジナル盤コレクターなら大抵は所有していると思う。日本においてレア盤とされるのはカナダのラジオ放送局用のレコード。65年に録音されたRADIO-CANADAのTHE THELONIUS MONK QUARTETは特にモンクのレコードの中でも入手が困難な部類に入るレコードだと思う。僕もまだ市場で数回しか見たことがない。(ただし、このRADIO-CANADAのレコードはジャケは全て同じ、モンク以外だったら見る機会も多いので中古屋を回っている人だったら一度は見たことがあると思うが)
カナダ・モントリオール・ジャズ・フェスティバルの実況録音盤で最初アナウンスが入りモンクの紹介を経て演奏が始まる。このレコード1枚だけで立派な番組ができる。肝心の音質の方だが、とくに優秀録音ではないが65年当時としてはごく普通の録音である。しかし音源は貴重でありモンクらしい楽しい内容となっている。
メンバーはT.MONK(p)、C.ROUSE(ts)、L.GALES(b)、B.RILEY(ds)

ちょっと〜Vol.1で載せた『MONK IN TOKYO』のジャケットとセンターラベルを撮りなおした。良い機会なので載せることにした。しかし1年前は最初撮ってからWebに載せるまで10〜15分くらいかかっていたのが、1年経た現在2〜3分くらいでWebに載せられるようになり、ジャケット写真もうまく撮れるようになった気がする。けれど普通の家族写真の方は悲しいかな未だに嫁さんと同じレベルである

Audio Lab.

バンゲルダーにも絶頂期があったように日本で有名な菅野氏の録音にも絶頂期があったと思う。昔からオーディオファン御用達のレコード、オーディオ・ラボが正にそれで、このレコードで聞く音楽は鮮やかで美しい菅野色で染められている。
(オーディオ評論家としては?正直言ってあまり好みではないが)しかし録音技師としては素晴らしく、特に菅野録音を代表するオーディオ・ラボのレコードは僕の密かな楽しみとして蒐集している。最近では市場に豊富にあるためか?日本人ジャズの人気のなさか?都内中古店やユニオンでは3〜1000円で手に入れられるので機会があれば聞くのも良いだろう。しかし、このHPを見ている人なら大抵、所有しているか聞いたことがある人ばかりだと思う。

ところがこの菅野サウンドさらに驚くような音が聞けるレコードがある。サンプル盤でしか所有していないがオーディオ・ラボの45回転の高音質盤。このレコードの音質は33回転通常盤の比ではなく、さらに色鮮やかさが増したような音色で菅野録音がどこまで凄いのか恐ろしくなるほどの凄まじい美しさなのだ。高音質盤といわれて(良い意味で)これほど通常盤と音質が違うレコードはあまり経験がない。菅野サウンドの奥深さ、凄さ、美しさが解る1枚である。入手金額は300円であったが・・・

人気のない録音優秀盤(オーディオファン向けレコード?)

インパルスはその音楽だけではなく録音がよいことで人気があり、コルトレーンを始め多くのベテランが秀作を数多く残している。インパルスは豊富に市場にあり廃盤の中では比較的安い価格が付けられている。セカンドプレス再発盤でもオリジナルと同じスタンパーを使用しているために安く良い音質のレコードを手に入れやすく、ジャケットはオリジナルと全く同じものを使っているので大変にお買い得だと思う。バンゲルダーの音を気軽に聴くならインパルスのセカンドがお勧め!である。
さて、インパルスの人気のオリジナル盤でも万を越すことは殆どない。最近、中古レコード屋で見るオリジナル・インパルスは殆どが3〜5千円程度である。まして人気のないオリジナル盤など2千円前後で入手できる。【人気のある再発盤(赤黒ラベル)も最近は千円台だ】
下のレコードは特に人気のない盤でオリジナル盤を千円台で入手した盤だ。演奏内容もそれほど悪くはないと思うが、なにしろ録音がスゴイ。優秀録音が多いインパルスの中でも最高の部類に入るのではないだろうか?特にヴァイブのカツーンとくる硬質の音にはオーディオファンにはたまらない音だと思う。中古屋で出れば異様に安く出るので一度聞いてみても面白いと思う。このヴァイブの音を聴く価値はあると思う。バンゲルダーの凄さがわかる一枚だ(ただしモノラル盤評価。ステレオ盤とは聞き比べていない)

もう一枚(優秀録音盤まで後一歩?)インパルスでお勧めのヴァイブが聞けるレコードがある。こちらはミルト・ジャクソンの人気盤だがモノラル盤はやはり、カツーンと来る分厚い音のヴァイブが聞ける。しかしステレオ盤になると何故か?とたんに音が薄くなる。
ラベルの色が違うが上が夜蛍光灯下で撮影、下が昼間明るい室内で撮影したもの。色合いは昼間の方が本物に近いが反射が多すぎるのが難点

失敗

よくやることだが曲名も録音日も見ずに安ければ買ってきてしまうクセが抜けない。まだまだジャズのオリジナル盤に関して知識がなく、コレクターとしてもまだまだ初心者だった頃の話。当時ラベルと溝とジャケの作りを見てオリジナルと判断していた。今日は収穫があったよと友人に見せると、あれ?コレ持ってるじゃんと言う。曲名・メンツを見て初めて気づく。レコード会社もジャケットも全く違い、アメリカ盤で溝があればオリジナルと思いこんでしまう自分が情けない。失敗した数は・・・結構ある。しかし音質はさほど悪いわけではなかった。当時の日本盤と比べると再発でも輸入盤は遙かに音質がよかった記憶がある。

最近見なくなったズートのrama盤(DJコピー)である。ルーレットからの再発盤で自宅で聞くまでは全く再発と判らなかった(タイトルを見りゃ判りそうなモノを・・・エサ箱の前では今でも冷静になれない)

こちらは有名なRCAのバド。再発盤はイタリアvik。初心者だった頃、こちらも日本盤でジャケットを見たことがあるのでてっきりオリジナルと思っていた。vikのレコードは『SWINGIN'』と『STRICTLY』の抜粋盤。オリジナルとは少しバランスが違うが上記の再発盤は二枚とも音質は良い

RIVERSIDE COMPOSERS SERIES

リバーサイド(3500番台)からコンポーザーズ・シリーズという作曲家別のオムニバス盤が出ている。内容的には寄せ集めの感が強いが、いろいろなリバーサイドのミュージシャンが聞けてジャズ聞き始めの人にはお買い得感があるかも?しれない。
このシリーズのジャケット・デザインはお世辞にも良いとは言えず、購入する気が無くなるジャケットが多い。その中で6枚だけ内容よりもジャケットだけで欲しくなるレコードがある。3514〜3519盤のシリーズでジャケが3枚続きになっていてそれが2種。両方とも女性がベットで横たわっているなかなかセクシーな写真で、最近どこかの輸入盤でも復刻されたので見た人も多いと思う。必死で捜しているわけではないが3517〜3519が見つからない。難しいことにステレオ盤とモノラル盤ではデザインが少し違うので3枚ともモノラルかステレオに揃えなければならない。まぁ、ゆっくりと捜すことにしよう


・・・・・ちょっとめずらしい?じゃず・レコード盤??? Vol.11に続く・・・・・