ちょっとめずらしい?じゃず・レコード盤??? Vol.7


Blue Note 1568

HANK MOBLEY 1568

1568のことを溶接工?と呼んでいた懐かしい時期があった。その頃はそんなに高価ではなかったが、現在はブルーノートの中でも非常に高価なレコードで数十万で取り引きされている盤である。確かに昔から専門店でもあまり見なかったが、今みたいに異常な値段が付いたのはバブル直前のように思う。裏話をすると、あるコレクターが十数万で並んでいた1568を30万でも売れるとその専門店に助言したのが始まりでそれ以降、横並びの値段になってしまった。
僕が知っているのはハンターのバーゲンで5千円、次に専門店で3万5千円、7万円では取引がないのではと言われていた。確かに初期プレス(1、2回のプレス)で終わっていてレア盤だがレコードとして異常に売れなかったのも原因。内容的にはやはりモブレーは一流になりきれなかった(そこが愛らしいのかも)プレーヤーで数十万するとは・・・まぁ希少価値か?このレコードに対する僕の評価はそれほど高くない。
値段だけが一人歩きをしているレコードだと思う。モブレーよりもクラーク・fanが必死に捜しているのかも?

僕が好き嫌いにも関わらず1568はブルーノートの中でも人気があるのは事実だ。さて、最近新宿ユニオンなどで売り出された高音質レコードだが、店頭で結構良い音でなっていたので衝動買いしてしまい、早速自宅で聞き比べてみた
ジャケットの写真はさすがにコピーを重ねてきたような画質でいただけないが日本盤よりもマシかもしれない。裏の写真も暗い部分を潰さないように薄いモノクロ写真になってしまっているが、真っ黒に潰れるよりもいい
さすがに古いプレス機械で作れなかったのかミゾはないが、盤重量もオリジナルとさほど変わらないし、ラベルも良くできていてマニア心をくすぐる。

肝心の音質であるが今まで聞いたどの日本盤よりも良く、ヴァンゲルダーがカッティングした雰囲気をよく再現して、オリジナルの音質に近い物がある。細かくいえば中域が薄く高域ばっかり目立つなど(これはテープの劣化の問題で数十年も経つと中域がどんどん抜けていく傾向にある)多少不満はあるが、聞き比べないと判らない範囲。3790円でこれだけ当時の雰囲気を味わえれば文句はない。これで満足できない人はオリジナル盤を購入する以外にはないと思う。安心して買える高音質盤だ


復刻200g重量盤


prestige 7105
オリジナルは黄緑色

COLTRANE

プレスティッジの人気盤コルトレーン。しかし左のジャケットちょっとおかしいと思いませんか?。実はラベルがN.Y.からN.J.に変わるときに作られたジャケットで普通は再発のN.J.盤が入っているのだが、誰かがいたずらしてN.Y.盤を入れたらしい。ジャケの方は色以外はコーティングのツヤ、裏のライナー及び住所など全くオリジナル・ジャケットと一緒だ。オリジナル盤をあまり知らない人が見たらその珍しさに大枚を出してしまうことだろう。まず珍しい?珍盤オリジナルを見たら疑うことだ。

このような色違いジャケットはプレスティッジでは珍しくはなく、有名なところだとマイルスのニュー・ジャズ・クインテットやソニー・ロリンズのワーク・タイムなど数多く存在する


Prestige LP 7014
ビニールをかけたまま撮ったので見にくいかもしれないがコーティングは無い。再発になるとコーティングされて、再々発盤は緑から水色になる。(コーティング無しでも2種あり、オリジナルを判断するのは初心者では難しいかもしれない)


Prestige LP 7020
こちらも再発になるとコーティングがあり、ピンク色が緑色に変わる。Prestige初期のラベルはレモンイエローといわれるもので盤は薄いが意外と硬い。初期のジャケットはブルーノートと同様、糊代が表に出て額縁と呼ばれるもの

joanie sommers / Positively The Most!

オリジナル・レコードに目覚めた頃、ジョニー・ソマーズが好きで、特に右のデビュー盤は比較的安く出ていると(2、3千円前後)問題がない限り購入していた。今では5枚以上所有していると思う。ところがオリジナル盤に音質が良いのと悪いのがあるのに気づいた。当時ラベルの種類とミゾやジャケットでオリジナル盤を判断することが多く、スタンパーまで詳しく調べなかった。ワーナーなどの大手レコード会社ではプレス工場を複数持っていたり又は依頼していたようで複数のスタンパーが存在し、大きくは手書きと刻印に分かれる。音質的には手書きスタンパーの方が、同じオリジナル盤といわれている刻印スタンパー盤よりも圧倒的に良い。


内気なジョニー、ワン・ボーイなどのヒットで有名になったジョニー・ソマーズだが、このデビュー盤にはアート・ペッパーが参加しているためにジャズファンには人気がある


同じジャケット、同じラベルでもスタンパーが違えば音質が異なる。同様な例で有名なブルーノートでも耳あり、なし(耳のマークみたいな文字?)では音質が違うことはコレクターの常識になりつつある
この他、リビング・ステレオで有名なRCAなどは工場によってスタンパーに"I"や"R"の文字が小さく入っていて、やはり音質が異なりクラシックなどは"I"の刻印の盤が人気があるようだ("I"はインディアナ、"R"はロックウェルのプレス工場出荷盤?)
ある程度のオーディオ機器ならスタンパーによる音質の違いがハッキリ判るのだが、オーディオfanはケーブル1本の違い、コンセントやプラグの違いに神経質になるのにレコードやCDの音源には気を遣わない人が多すぎる。
特にプロであるショップの販売店店員が現在売られている、または雑誌に載っている、高音質盤以外の盤の知識について詳しく知っている人は非常に少なく残念に思う。

CANDY/LEE MORGAN

日参している?新宿ユニオンジャズ館を覗くと壁にブルーノートの盤だけが飾ってあり検盤OKと書いてあった。?と思いながら見るとなんとリー・モーガンのキャンディではないか。しかもオリジナル盤だ!と手に取るまで復刻とは解らなかった。スタンパーを見てようやく復刻盤だと理解した。それほどラベルや盤の出来がよい。先のモブレー1568と同じ会社からでた輸入・重量盤レコードでミゾが作れるのなら1568もあれば雰囲気最高なのに残念だと思うのは僕一人ではないはずだ。さて、気になるオリジナル盤との音質などを比較をしてみよう


オリジナル・ジャケット


復刻盤・ジャケット
オリジナルのジャケットと比べると写真が粗く、どうしても見劣りがする。しかし日本盤やその他の再発盤のジャケットと比べると良く出来ていると思う。この会社は1568も同じだが黒が潰れないように配慮しているのがよい。細かく比較すると復刻の写真のグレイの色が少し青みがかっている。また右の方にシミが見えるが、この写真を撮ったオリジナル・ジャケットに付いていたものであろう。どうせなら消してほしかった。


オリジナル・ラベル


復刻盤・ラベル

さて、ラベルの色やミゾはビックリするほど良くできている。ブルーノートのミゾの大きさは初期から中期、後期へと微妙に変化し、キャンディの時代は幾分細いのが多い。。復刻版のミゾは初期、中期に多く見られる比較的太いミゾだ。ラベルの色は非常に良く再現されていているがやはり初期のレキシントン時代に近い色だ。(写真で色の違いが解ればいいが・・・)オリジナルのスタンパーはRVG、9M、BN-LP-1590A,B、耳マークが書いてあるが復刻盤はBN-LP-1590A,B、BGと小さく書かれている。盤の重さもほぼ同じである

さて、肝心の音質だが、1568同様?いや、それ以上にオリジナルに忠実だと思う。キャンディでみせるリー・モーガンの少し暖かみのある音がよく再現されている。ピアノ、ベース、ドラムの音のツヤなども申し分ない。アナログ特有のこの艶やかな音質はCDでは再現が難しいと思われる。細かく言うとオリジナル盤のほうが力強い音がして、一音一音、弾くようなスピード感がある。しかしながら復刻盤(1568の時のように少し中域が薄いようだが)再発としては素晴らしい音質だ。オリジナル盤が10万円以上で取り引きされている現在、この復刻の3790円は大変にお買い得と思われる

Time Out / The Brubeck Quartet

昔から中古が安価で出ていると同じレコードを持っていても購入してしまう癖が抜けない。特に気に入った盤があると再発でも国内盤でも一度は聞いてみたくなる。今の音よりももっと良いのではないかと思い、つい手が出てしまう。しかしオリジナル盤が優秀録音であるからといって再発も良いとは限らない例もある。
右のレコードは録音・内容と共に名盤であり、特に米コロンビアの中でも優秀録音の1枚に数えられるのではないかと思う。オリジナル盤以外にも昔、国内盤CBSソニーから出た音にビックリしたことがあった。マスターテープが良い音だから当然日本盤でも良い音で聴けると思っていた。しかし何気なく数百円で売っていたオランダCBS盤を購入、聞いてみたがハリもツヤもなくただ鳴っているというくらい悪い。優秀な音質のマスターテープもカッティング・エンジニアの感性一つで音質がコロコロ変わるいい例だと思う

オリジナル盤が全て良いとは限らない、再発でも良い音質はある。しかし失敗例も多い。オーディオと同じだが、レコードも結局のところ聞いてみなければ解らない。5、60年代黄金期のジャズを聴いているオーディオfanが一つの音源で満足していたら、良い音でオーディオを聞く機会、音楽を楽しむ機会は極端に少なくなると思う


HOLLAND CBS S62068


Brunswick 87 903 std

Byrd in Paris

昔から幻の名盤と言われていたレコード。フランス・オリジナル盤はなかなか見ないし高価である。しかもvol.1、vol.2がありセットで売っていることが多い。
昔、私もvol.1だけは非常に安く手に入れたがもう片方が入手出来ない。何回かチャンスはあったが恐ろしく高価だったり、適価でもキズが付いていたりで、そんなときに再発盤が出て飛びついたが非常に音が悪くガッカリした。フランスで再発盤がでた後に日本でも再発盤が出たはずだが残念ながら聞いていない。オリジナル盤と再発盤の音質の差が激しい1枚であると思う。
コレクターには不思議と縁がないレコードがあると言うが僕にとってはvol.2がそうかもしれない。

クラシック(BERNARD HERRMANN)1

ジャズでもクラシックでもポップスでも僕の感性に合う音楽は何でも聴いているが音楽的快感とオーディオ的快感を同時に得られる物はそれほど多くはない。ジャズ廃盤でそのような物は高価すぎる感があるがクラシックではレコード離れが進んでいるため安価で手に入る。右のレコードはデッカの傍系のレーベルで非常によい音が聞けるレコードが多い。中でもハーマン指揮のレコードは音楽的にもオーディオ的にも満足出来る演奏が多い。phase4のシリーズの録音エンジニアであるアーサー・ライリーはウィルキンソンと並ぶ天才肌の技術者だと思う。ジャズでもクラシックでも狭いジャンルしか聴かないというのは実にもったいないことだと思う。


DECCA PFS 4169


Debut DEB-140

Albert Ayler 2

その昔、オリジナル盤がハッキリとしなかったときの話。とある廃盤屋のオヤジがこれはジャケットが再発だからと右のレコードを格安で売ってくれた。このジャケットは何故かフォンタナのジャケットしかなくフォンタナのロゴの上にデビューのシールが貼ってあるのがオリジナル・ジャケットとされている。(もちろん、中身はデンマーク・デビュー盤だが)いろいろとオリジナル盤に関する情報がなかった時代、廃盤専門店を回っていても楽しかった。今ではどこでも相場価格以上?の廃盤専門店は面白味がなく足を踏み入れていないが・・・

アイラーの話でもう一つ。15年以上も前のことだが再発フォンタナ・ラベルのアイラーのゴーストとマイネーム・イズを金に困った友人が1万円以下で周りのコレクターに話をしたが誰も見向きもしない。次の日に新宿のユニオンに持っていくと店員が支払いは夕方でも宜しいですか?と聞く。査定額を見てみるとなんと!10万円!!こういった話は今は聞かないが昔は時々あった。

・・・・・ちょっとめずらしい?じゃず・レコード盤??? Vol.8へ続く・・・・・