オーディオ雑記帳

オーディオって結局は自己満足の世界だと思う
きっと、人に聞かせるほど良い音で鳴っているわけでもない
しかし、やはり自分の音が最高!と気ままに好きな機器を書いてみた


DECCA 2 と アダプター

DECCAカートリッジ

オーディオに興味を持ち、レコード針を国産のMMカートリッジからオルトフォンのカートリッジに換えたときの衝撃は僕をオーディオの虜にした。これほど色鮮やかに美しく音楽を聞いたのは初めてだった。後年それ以上に衝撃を受けたカートリッジがDECCAである。それまでのMCカートリッジとは違うストレートな鳴り方で驚いた。DECCAを聞いた後のMCカートリッジがMMカートリッジのように聞こえる。が、あまりにも癖が強い。オーディオ機器は愛情を注いでやると答えてくれると言うが?いろいろと使い込んでいくうちに不思議にバランス良く鳴り出した。いつのまにかDECCAが僕のメイン・カートリッジになり、知人に聞かすと必ずこのカートリッジはもっと癖があると思っていたと感想を漏らすほどだ。難点と言えば専用のアームを使うかアダプターが必要なことだ。DECCAのカートリッジはレコードとの相性があり、はまれば凄い!と聞いていたが僕のシステムではどのようなレーベルのレコードを鳴らしても特別不満はない。

DECCAは個々により音が若干違う。たぶん他のカートリッジよりもばらつきがあると思う。1→2→3と中域が細くなる感じだがレンジもひろがる。僕自身、ジャズには1、2をクラシックには3を愛用することが多い。ストレートでキビキビした音質で曖昧なところがないDECCAはうまく調教できないと、たちまちイヤな疲れる音になりかねない。難しいがおもしろいカートリッジである。この古いDECCAのカートリッジは現在もイギリスで針交換してくれる。最近、3ヶ月位かかったがマーク3が戻ってきた。幾分現代風に聞こえるが徐々になれるだろう。DECCAの音は健在なのだから・・・


バッチの色・赤がマーク1モノラル・白赤がマーク1
白がマーク2・金色がマーク3
この他、SP用の緑のバッチがある

マランツ10b

いまさらチューナーなどと言われるかもしれないが僕もマランツ10bを聴いてみるまではそのように思っていた。
実はマランツのアンプのコレクション、飾り物としてマランツ10bを購入したという不純な動機があり、偉そうにチューナーが良いなどと言えない。しかも格安で手に入れている。
ビックリしたのは繋いだ瞬間、マランツの音そのものが聞こえてきた。ちょうどNHKのクラシック・ライブをやっていて、それがまた素晴らしく良い音質で聞こえる。しばらくの期間レコードを忘れNHKの放送に夢中になったほどである。
不思議なことにCD嫌いの私だがマランツ10bでのCD放送はイヤにならない。一種のフィルターのようなものだと思う。

今、僕の朝はNHKの朝のバロックから始まる。そして夜、時間があればNHKのクラシック・ライブをなるべく聴くようにしているというか楽しみでもある。自慢話になるかもしれないがマランツ10b→マランツ#7→マランツ#9→ハーツフィールドから流れるクラシックが、また非常に良い。(いつの時代からJBLはジャズ向きだと言われるようになったのだろう?)
あまりに音質が良いのでチューナーに繋ぐアンテナ線を高価で高級なものに換えてみたらライン、電源ケーブルを換える以上に効果があった。
なんだかんだでこのチューナーが気になり、その後、結構あちこちで聴いたが当たりはずれがあまりにも大きい。外見だけのマランツ10bが多すぎる。特に大胆に?修理が施されたものは・・・マランツ#7以上に神の手を持つ職人でなければ修理は難しいのだろう。
たまたま大当たりのマランツ10bが入手できてラッキーと思っている。いつのまにか僕の大切な機器になってしまった


初期レビンソンの音は20年前と変わらずに僕を魅了する。レビンソンが発売された当時、JBLのアンプや管球マランツ、管球マッキンなどまだまだ元気だった。そのオーディオ黄金時代を知る人は少ない

Mark Levinson ML-1L

初期のプリアンプJC-2の後継機種だとかLNP2の廉価版だとかLNP2やML-6にはさまれて案外軽く見られ評価もそれほど高くないが、その実力はLNPやML-6と十分肩を並べられると感じている。独特の陰影があるLNP2、その柔らかな表現力が素晴らしいML6。両方のプリアンプも完璧ではなく、フォノ部が弱いLNPと機能的にコントロールアンプとして弱いML-6。しかしLNPとML-6の良いところを持ったのがML-1Lであり、さすがにLNPやML-6までの表現力は持っていないが、その歯切れの良さ、力強さなどはLNPやML-6など遠く及ばない。プリアンプとしての機能も十分で特にフォノ部の素晴らしさはこのアンプをいっそう際立てている。初期のレヴィンソンを知れば知るほどこのアンプの実力が解る。レビンソンの中では安価だが決して廉価版の手抜きのアンプではない。LNP、ML6、ML1の中では一番元気のあるプリアンプだ。
発売当時よくレビンソンの音は冷たい音と評価されていたが現代アンプと比べると結構熱く聞こえる。ジャズを表現するにJC2の音質は?と思うことがあるがML-1LにはLNP,ML-6以上ということが多々ある。(比較するのは無理があるかもしれないが)発売当時定価が60前後、今現在同価格で20年以上魅力を放てるアンプはあるだろうか?

初期オルトフォンについて

オルトフォンに詳しい友人のI氏に、修理に出すというFONOFILM時代のオルトフォンの中身を見せていただいた。1918年からのエレクトリカル・フォノフィルム社が1959年にオルトフォン社に改名されステレオ再生用カートリッジSPUを開発実用化。そのフォノフィルム時代、カートリッジの殆どが業務用でB型(AB、AD、CB)の検聴用とA型(A、C)の放送局用などに分かれるようだ。オルトフォン時代になってから日本でも初期SPUがソニー、ヤマハ、オーディオ・ニクスと代理店が変わり輸入されたが当時A型はやはり業務用でわずかしか輸入されていない。(注:資料が少ないため間違いがあるかもしれません)

検聴用、プレイバック用に使用されたB型シェルに入ったフォノフィルム時代のカートリッジ

放送局用として使用されたA型シェルに入ったフォノフィルム時代のカートリッジ(I氏所有)
右のシェルに付いている赤い印は針のチップの大きさを示している。色別に赤が25、オレンジ30/75(楕円?)黄45、緑55青65、紫75、灰85、白95の8種ある。また左の写真(上下)で判るとおり時代によりチップの印の位置が変更される
カンチレバーの形状でもA型、AB型、B型、BC型、C型と分かれていてA型からC型にかけて細くなる。

上のシェルと赤い印の位置が変わっている。(I氏所有)

初期のフォノフィルムのプレートはカンチレバーの切れ込みが丸い

その後、プレートの切れ込みは四角くなり現在のAシェルプレート(CA25)にも使われている

プレートを外し、ネックのピンを抜いて分解した状態

本体を上から見た状態。コイルから出ている細い線が接続ピンにハンダ付けされている

本体からカンチレバーを外した状態
左の写真ではわかりにくいがカンチレバーから細い棒状の芯がハンダ付けされ、その芯の縦方向にコイルが巻かれている。透明の樹脂に入っている巨大なマグネットも強力な磁力である
ただしフォノフィルム時代はピン配列が異なるので専用のアームが必要でオルトフォンの初期の専用アーム(フォノフィルム時代のA212、S212、SK212)か初期297、EMTのアーム、初期のSMEのアームなどしか取り付けられないが、その奏でる音を聞くとアームを取り替えることなど苦にもならないであろう

最初期SPU

右は最初期SPU(ステレオ・ピック・アップ)時代のAシェルの写真。初期のSPUはネックのピンのベースの色が(その後は白)で指かけの止めネジが丸ネジ(その後は平ネジ)で本体の止めネジも丸ネジ(その後は平ネジ)である。
また初期本体の最大の特徴はカンチレバーのチップの所が、しゃもじのようなヘラ状で、また長く、本体に刻印されている白塗りのシリアルナンバーも太いことである。
オークションなどで出ている初期SPUにはマークだけ換えてあるものなど偽物が多いので注意すべきである

(I氏所有の初期SPU)
オルトフォンのマークは糊付けですぐに取り替えられるのでマークだけで最初期カートリッジと判断するのはキケン!


初期型5/9の入力端子はキャノンのみ

ROGERS 5/9

何故かこのスピーカーは付き合いが長い。現在所有しているのは最初期型であるが今までに4種類の5/9を使用してきた。最後に発売されたウーハーの磁気を強力にした?十周年記念限定発売のスピーカーを除けば音質は基本的に変わらないと思う。ここら辺がさすがにBBCモニターである。4種類というのも主に入力端子の違いだけであると思う
このスピーカーを使っているクラシック・ファンが圧倒的に多いがジャズも十分すぎるほど良く、独特の甘い中高域がさらに音楽を楽しくさせてくれる。
駆動するアンプにはモニターというだけあって敏感に反応するが5/9の音色が失われないのは見事。
今はレビンソンのアンプで鳴らしているが、経験した中で一番5/9の音質を生かせるアンプはクォードのアンプ群であると思う。ハイエンド・マニアが聞いたら笑われるかもしれないが分解能や音場などの意味を忘れてしまうような音楽がそこにある

Stellavox ST2 (96/24)

BGM用に使っているマランツCD19は安物のくせに何故かレビンソンに合っていて、その冷たさが気に入っている
最近、気に入ったクラシックCDを頻繁にBGMで流しているが耳障りでどうしようもなくなった。しかし安物でもCD19を買い換える気にはならないので、はじめてDACというモノを使ってみた
音も聞かないまま(聞いてもわからないだろうが)小さなステラボックスのシンプルな形が気に入り購入。早速、CD19につなぐとあまり音質の変化が感じられない?しかし気になっていた高域が滑らかになったようで耳障りな音はなくなった。大枚?はたいて購入したのだから、せめてリンのアイケミくらい歌ってくれると良いのにと思うが贅沢か。CDの音質に興味があれば、ものすごい変化かもしれないが、興味のない僕にはカンノのトランスより少し良いくらいの感じ。まぁBGMで聞くだけだから贅沢かもしれないが、きっとアナログでこのような変化があれば絶賛することになるのだろうなぁと思う。
このことを思うと音など興味のない嫁さんなんかは音が変わったと騒いでいる僕をバカ扱いするのも十分理解できる

最新録音盤でCDを聴くと非常に綺麗な音で鳴るし、透明感、音場感、分解能も申し分ないと思う。しかし何故か歌ってくれない?これが僕のCDに対する感想だ。(CDの音は元々好きになれないのでカンノのトランスを入れて使用していた。CD19の天板に思い物を載せると音が良くなるように感じ、大理石の板を載せてどんどん重くしている。いずれ壊れる予感がするが気にしていない)

英・EMIモニタースピーカー・EMI 319

引越のために小型のスピーカーを捜していた。あるお店で雰囲気のあるスピーカーを勧められた。エンクロージャーまで英・EMIが作らせたものと思われる密閉式のスピーカーで、憧れのデッカのデコラに使用されているEMIユニットというだけで胸がキュンとなり購入。英EMIのスタジオモニターだったらしいが詳しいことは解らない。ネットは金属を編んだ物で凝っていて、楕円ユニット一発にしては重量がある。大きさは殆どrojers5/9と変わらないが音の出方はとても小型スピーカーが鳴っているとは信じられない音で驚いた。ちょっと癖がある?音質であるが正に音楽という音が鳴り出す。特にレコードの再生能力は見事でクラシックどころかジャズの熱さや厚みまでほとんど不満無しに再生できるのは頭が下がる。まだまだ機器の選択して鳴らし込まなければならないが当分遊べそうなスピーカーであることは間違いない。
機器を取り替えるとキビキビと反応してモニターらしい一面を覗かせるが、rojersのように一聴してわかるような音質ではないので誰でもというわけにはいかないが音質の良い悪いよりも先に、なにか鳴りそうな予感をさせる凄さを持っている

Wadia Pro

普段BGMに使っているCDの音が気にくわなくなってきた。安物のCDプレーヤーCD19にStellavox ST2 (96/24)のDAをレビンソンLNPに繋いで高域は良くなったのだが何故か全体のバランスが気に入らずカンノのライントランスに戻してしまった。ST2に換わるDAを捜していたが気に入ったものが出てこない。そんな中でワディア・プロを見たとたんレビンソンに合いそうな予感がして入手してしまった。レビンソンに繋いだときに狙ったとおりの妖しい音が・・・しばらくはBGMのCDを聞くのが楽しくなりそうな予感がしてきた。何ヶ月か使ってみて本当に気に入ったらレビンソンのようなウッドケースに入れてしまおうかな?とまたバカな事を考え、ニヤニヤしている。
しかしCDはアナログ・カートリッジみたいに気軽に換えて気に入った音質にするということは難しく安い物はそれなりの音しか出ないような気がする。本気でやればアナログ以上に金がかかりそうだ。

EAR861

独特の美音を放つEARのアンプは熱狂的なファンが多く、僕もその一人かもしれない。数年前になるが新宿のダイナミック・オーディオで数台のEARを聞く機会がありEAR861のその美音には驚いた。視聴スピーカーのヨーロッパ小型スピーカーとの相性もあったのだろうが、とにかく美しいの一言。それ以来レビンソンLNP2と合わせたらどうなるのだろう?と思っていたが過去に真空管パワーを使い失敗しているのですんなりと手が出なかった。数ヶ月前、会社近くのオーディオショップにEAR861があったので事務所に置いてあるML-1Lを持ちこみ視聴と思ったが予備の調子の悪い電源を持っていったためプリから音が出なかった。相場よりも安いので失敗してもともと、と購入してしまった。もちろんレビンソンの電源(PSL150)は後日ハーマンに送って修理したが・・・

サブとして置いてあるガラード→ML6→LNP2→NO.29→LS5/9に早速、NO.29をEAR861に換え視聴。いやぁ〜マイッタ。今までこのような絶品のLS5/9を聞いたことがない。何とも繊細で甘く美しい音なのだろう。一つ一つの音の密度感はこのパワー独特のものでありEARのパワーの中では一番「濃い」音で、とてもトランジスタのアンプでは表現出来ないかもしれない。EARのプリアンプの組み合わせで過去何度か聞いた美音とは別物の美音でLNPとEARの良いところが両方いい感じで出ている。EARは比較的聞く機会が多かったがスピーカーとの相性で時には独特の美音が消えてしまう組み合わせもあった。チョイ聞きでは判断できないアンプである
じつはEAR861はBBCモニター3/1、5/1に使うために準備したもので今回、5/9でうまくいったので大変に満足している

スタピライザー

アナログ・プレーヤーの必需品?今まで多くのスタピライザーを試したが良い結果を得られたモノはなかったように思う。音質は締まる傾向にあるがバランスが崩れやすい。特に重量級のスタピライザーを使用すると音のバランスが気になる。まだ軽量級のスタピライザーの方がマシだが・・・やはりバランスがおかしい。音質とともに気になるのが盤のソリだ。盤によってはソリが強調される。
この2点が気になり多くのスタピライザーを持っているが使わないことが多い。しかし先日930にトーレンスのスタピライザーを何気なく使ってみた。バランスが崩れずに音の輪郭を描く!コレには驚いた。その後何枚もオリジナル盤を引っ張り出して930、101に使って確かめた。両方とも満足できるバランスで鳴ってくれる。しかも力強い音を伴って・・・またソリの方も930や101のターンテーブルのフェルトがうまく吸収するらしくそれほど気にならない。何故今まで使わなかったのだろう?理由がある。何年も放置したことでかなり汚れていたからだ。おもわずダイナのA氏のところに行き新品?を2ヶ購入してきた。930を使用している人には試してみても面白いと思う。


独特の形がバランスを整えているのかな

・・・オーディオ雑記帳 2・・・