Sonny Clark Trio 昔から高価で欲しくても手が届かないレコードだったソニー・クラークの代表作の1枚である「Sonny Clark Trio
(time)」はオリジナル盤の材質が非常に柔らかいために、ごく微細な傷でもパチパチとノイズが出ることも多く検盤での判断が難しい。また粗悪な針で聞いた盤だと表面が綺麗でも音が割れたり、中には偏芯で音が揺れる盤もある。実際に僕も何回か買い直してようやく完璧な盤を手に入れたコレクター泣かせのレコードである。 |
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TIMEは70000番シリーズと2000番シリーズで音質が異なり、ソニークラークのように陽と陰の関係だ。録音技術は高く良い音質でブッカーリトルなどの傑作盤も多く、またソニークラーク以外はそれほど値が張らないが、オーディオ的再生には70000番台のほうが面白いかもしれない。下の写真は中古屋でよく見かける70000番台のTIME盤 | |
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THE PRESTIDIGITATOR / GEORGE WALLINGTON 昔から幻の名盤と言われながらコレクターの間では人気のない?「手品師」。ウォーリントンにJRモンテローズとメンバーを見れば聴いておかねばならぬレコードの一つであろうが、残念なことにこのレコードは演奏内容以前の問題で音質が非常に悪い。アトランティック系のレーベルは何故こんなにもカッティングレベルが異様に低い寝ぼけた音質のレコードを出すのだろう?と疑問を持つほど冴えない音のレコードも多く、このアトランティック傍系のレーベルのEAST-WESTでも例外ではない。まるでレコードのサーフィスノイズのなかに音が埋もれているようだ。もしもこのレコードの音質が素晴らしかったら本当の意味での名盤になっていたと思うが、僕も何年も仕舞いっぱなしにしていて聴く気が起きないレコードで、当然のように中古市場でよく出てくるレコードの1枚だ。JRのサックスの音など覇気が無くダラダラと吹いているように聞こえるのはすべて録音技師、あるいはカッティング・エンジニアの責任であると思う。この音質では誰でも手放すレコードの候補に挙がるのには無理はなく、価格も幻と呼ばれているにもかかわらず1万前後で綺麗な盤をよく見る。しかし、かすかに聞き取れるJRのサックスの音は当時の「メッセージ」にも共通するものであり、後に出てくる70年以降の色々なレコードで聴く音とはまた違うので貴重と言えば貴重であるが・・・ |
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レコードセール PALO CONGO / SABU GW新宿ユニオンの目玉セール「超ブルーノートセール」は朝から40人ほどの人が集まりブルーノートの根強い人気を再認識するに十分であった。「ゆっくり入ってください」の店員の声を無視したように早上がりで階段を駆け上り3Fのえさ箱に。手当たり次第に気になるモノを抱え込み後でゆっくりと吟味する昔からの方法で僕も10枚ほど手に持った後は他の人が何を持っているか抱えているレコードを盗み見る。ここからが本当の勝負で、皆が手に持った高価なレコードをすべて買える訳ではない。次々にキャンセルされるレコードをじ〜っと見ること1時間。もちろん皆の考えも同じでえさ箱の周りには返されるレコードを待つ人だかり。この雰囲気は経験しないと絶対に分からないオタクの世界で、ようやく全てのことを見終わった後、カウンターに持っていき1枚1枚検盤すると僅かに残ったレコードは「SABU」(汗) |
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LESTER YOUNG アナログレコードなどいい音がするわけがない!スペック的にはCDの方が断然有利だし・・・というオーディオマニアが多くいるが、あるきっかけで「本物」に出会うとたちまち虜となるアナログ・オーディオ。しかし実際にはオーディオ店に集まるオーディオマニアのほとんどが「本物」に出会うことなく右往左往して、やれ電源だ!ケーブルだ!と騒いでいるが「井の中の蛙」状態で、過去に出されたメディア媒体(SP、LP)を知ることもなく録音エンジニアなどの音質を語る輩も多い。 さて偉そうに言う僕も昔、LESTERなどの中間派の演奏は聴かず嫌いでまた聴き比べもしていないのに何処かで一聴して音質が悪い物ばかりだと思っていた。しかしあるコレクター宅に招待され「le dernier message」を聴いて(まるでハードバップ!を聴いているような)ハードなレスターに驚き、それ以上にレコードの音質の良さに驚いた。たぶん、レスターの中では最高の音質だと思う。そしてもう一枚こちらは聞き覚えのある「the president」。オリジナルは初めてでこんなに暖かく雰囲気のある上品な音質はまことに見事でたちまち虜となった。まだチャーリー・パーカーのSPの凄さを知る前でまだまだ知らないことが多かったが、LESTERを経験しなければ色々なソースを経験したいとは思わなかっただろう。しかし「the president」の方は比較的早く手に入ったが「le dernier message」は当時とんでもなく激レア盤で出ても手が届くはずもなかった。しかし巡り会うものでジャケット、盤と共にほとんど問題のない盤を手に取ったとたん・・・いつもの結果が(涙)・・・しかし自宅に戻り針をおろした瞬間、このような素晴らしい音を経験できるなんて!財布の中身など全く忘れさせてくれる至福の時を与えてくれるこの時間はそれ以上の価値がある。LPだからCDだからと音質を議論するのが馬鹿らしくなるくらい音の次元が違う。ネットでも色々と議論されているが、面白いことにジャズ3大レーベルなどのオリジナル・ソースを所有して適切な再生を行った経験があるが、やはりCDの方が音質が良いと言う人に巡り会ったことはない |
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Crazy and Mixed Up(2) / Sarah Vaughan Vol.14で書いた「Crazy and Mixed Up」のドイツ・パブロ盤が偶然入手できた。あっさりとしたもので普段通り新宿ユニオンのえさ箱を見ていると独特の手触りのコーティング・ジャケットが・・・やったぁ〜!長年探していたがこうもあっさりと出てくるとは・・・2回目の遭遇である。どうもコレクターの気質であろうか?難しいものを欲しがる特殊な体質なのか?うれしそうな顔をしていると隣のオッサン(僕もオッサンだが)がビックリしたような顔つきで覗き込んで手にしている「Crazy
and Mixed Up」を見てこんなの持って喜んでるバカがいると思ったに違いない。 |
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一粒で二度美味しい!Dodo's Back! まるでグリコの宣伝みたいだが、ジャズの黄金期がまさにそれに当たる時期であると思う。ステレオ初期には多くの実験的録音からモノラルとステレオ二台のテープを別々に録音して同じ演奏を全く雰囲気の違った演奏に出会えることを幸せと感じるべきだ。しかもこの時期はジャズの歴史の中でも名演と言われているものが多いからたまらない。ジャズの場合モノラルよりも劣るステレオ録音が多いと感じるベテランもいると思われるが、モノラルと比較しても劣るとは感じられない録音が多いことは知られていない。ステレオ録音が評判にならないのは国内のコレクターがモノラルに執着していることと、愛聴盤で無い限り二枚も同じレコードを揃えようとしないのは当然か?しかし僕みたいに金がない時代にゴミみたいにえさ箱に残っていた安い(10年くらい前までは本当に安かった)ステレオ盤を買いあさり、働きだしてお金がある程度自由になるようになってからモノラル盤を買い始めたが、モノラルを聴いてあれ?となるような録音も多かった。 |
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Dodo's Back! はモノラル、ステレオとともに優秀な録音で少し違った雰囲気のdodoが聞ける。どうもこのレコードのモノラルは縁がなくプロモしか所有していない。オリジナルラベルの色は深緑色 | |
THIS IS THE MOMENT! / KENNY DORHAM 本人は本気で歌手になるか悩んでいたというケニー・ドーハム。けっしてお上手とは言えない?内容だがそこは人気者、ゲテモノでもオリジナル盤で聞きたいと捜すコレクターが後を絶たない。特にボーカルは再発盤などでカッティングが違うと声の質感がまるで違いオリジナルを求める人が多い。僕も滅多に聞かないが面白レコードとしては価値があるのかもしれない・・・ドーハムが歌手ではお呼びがかからなかった答えがこのレコードにあると思う。ところがこのレコードでまだ僕自身オリジナル盤に遭遇したことがない。 ジャケットの左上はシミではなく、コーティングがはがれ始めている。右下のラベルにはミゾのような筋が見えるがミゾではない |
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日本人ジャズ(ペラジャケ)レコード 昔から日本人中心に集めているコレクターを知っているが、コレクションのきっかけは外国廃盤など比較にならないほど格安で購入でき、また専門店以外の一般中古屋でちょくちょく見つかるために意外とコレクションしやすかったというもの。僕も数年前までは古い日本人ジャズレコードなどをよく千円以内でえさ箱で見つけ、状態が良いものだと喜んで購入していた。ところが2年ほど前までは数百円で売っていたものが数万円!!!で壁に飾ってある最近の高騰ぶりには驚かされる。古くからえさ箱を漁っているコレクターは最近の値段の付け方が信じられず購入する気にもなれないだろうが、ここ1、2年日本人ペラジャケ・セールなどは大反響で目の色変えてレコードを漁っているファンが多い。そういえば最近のコレクターは昔見なかった人ばかりで新人が多いのかも知れない。東京のコレクターの噂では日本人の古いジャズレコードの値段を高騰させた(関西系?)業者がいるようで、東京の大手チェーン店に買い取りを依頼して、もの凄い高価な買い取り価格を付けたのが始まりらしい。 |
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こちらは極端に値段が跳ね上がる数ヶ月前に新宿ユニオンで800円で購入したもの。このレコードは最初からビニールで覆われていて補強のため?に赤いテープが上下左に貼ってある。お茶の水のペラジャケセールで数万円で飾ってあったが状態が悪かったようだ。内容的には数万円の価値はとても??? | |
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上記のレコードの約1年半くらい前に、はやり新宿ユニオンで1集、2集と並んでえさ箱にあったもので1800円と2200円だったものを購入したが、白木秀雄(ds)は人気があるので多少高価(2000円前後)になるのは仕方がないと思っていた。 | |
JR. Monterose ちょっと〜Vol.1でご紹介したモンテローズのサンプルレコードを覚えておいでだろうか?掲示板でも以前、話題に取り上げられたが私自身資料がなく録音年月日メンバーなどお答えできなかった。ようやく正規発売のフレッシュサウンド盤が手に入った。この盤自体高いのか安いのか?あまりよく分からないがお店によって値段がずいぶん違うので驚く。たぶんモンテローズというだけで内容以前に高いのかもしれない。そういえば昔8〜900円でも売れずどこでも持て余していたアップタウンのモンテロースが恐ろしい値段が付いているのにビックリしたがジャケット、内容ともに面白くなく何回か買っては売り飛ばしていた。時代が変われば変わるものである。さて、フレッシュサウンドからでたタイトルは「Live at The Tender Trap」となっていて1963年のライブ盤。フレッシュ・サウンドは貴重な音源を多数発売しているがこのレコードの音質は?冴えがない。JRのレコードとしては演奏内容もそれほど良いわけでもなく、何故中古市場で高く設定されているのか?訳が分からない。しかしスポットライトのテスト盤を聞くと一皮、いや二皮くらい剥けたような音質であり、フレッシュ・サウンド盤を聞く限りほぼ間違えなく(ちょっと〜Vol.1の)スポットライト盤を音源にしてカッティングしているようだ。正規発売をするならばちゃんとしたマスターテープを使ってほしいものである JR.Monterose (ts) Dale Oehler (p) Dick Vanizel (b) Joe Abodeely (ds) Al Jarreau (vo) Rec.1963 |
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Al Haig today! 日本では何が幻か解らないほど幻の名盤が良く出てくる。幻の名盤の1枚に数えられていた「Al Haig today!」もよく出てくる1枚。このレコード80年半ば頃までは「グリーンミント」と言われているラベルしか見なかった。アメリカのオークション屋が倉庫から大量に「Al Haig today!」を見つけ、それが数多くオークションリストに載るようになり日本に輸入された。ところが倉庫から出てきたレコードは全て「ブラックミント」と呼ばれるようになるものであり、今までオリジナルとされていたラベルと違うことからある廃盤屋がそのオークション屋に問い合わせ“当時のレコード制作関係者が「ブラックミント」を所有しているのでオリジナルであるはず”と返事が返ってきたが、その返事すら真実かどうか怪しいものである。 僕が怪しいと思うのは以下の理由によるもので 【1】何故ブラックミントが倉庫から発見されるまで誰も見たことがなかったのか?【2】60年代には「Al Haig today!」は日本に少量だが存在していて全て「グリーンミント」である。【3】ジャケ裏のライナーが無く(真っ白で)中に「Al Haig today!」の解説のコピーが入っているプロモーション・ディスクのようなレコードに2度ほど遭遇しているがいずれも「グリーンミント」であった。【4】同時期に何の必要性があって2種のラベルが作られ、また片方が倉庫に仕舞われたのか?一つ考えられるのは「ブラックミント」にはカゼひき盤が多いために刷り直し?しかし、いちいちマイナーなレコード会社がカゼひきごとで刷り直すと言うことはまず考えられない。以上のことから僕は「グリーンミント」をオリジナル?として所有しているが一般には「ブラックミント」がオリジナルとされているようだ。僕の周りには「ブラックミント」を所有している人がいないので音質その他を比べたことはない。 *ただし僕が昔から「ブラックミント」盤の存在を知らなかっただけかもしれないが |
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