ちょっとめずらしい?じゃず・レコード盤??? Vol.20

BOSSA NOVA / CANNONBALL ADDERLEY

リオデジャネイロで録音されたこのアルバムはブラジル盤がオリジナルなのか?それともアメリカ盤がオリジナルなのか?当然リバーサイドの企画でアメリカ盤がオリジナルであるが、コレクターにとってはブラジル盤も気になる存在であるほどの人気盤。基本的には録音国での初版プレスがオリジナルとされているが以前にも書いてあるとおり、企画会社が録音国以外の会社であるならばマスターテープをその会社が持ち出していると考えられる。「BOSSA NOVA / CANNONBALL ADDERLEY」も聞き比べると音の鮮度が違う。とくにアメリカ盤のアダレィのsaxの音は芯が一本入っていて、ブラジル盤と比べるとベールを一枚剥いだ感じ。もしかすると米リバーサイドがヨーロッパに孫テープを送り、さらにヨーロッパからブラジルにひ孫テープが送って作られたと考えた方が自然かもしれない。それほど音に芯が無く全体に柔らかい。希少価値から言うとたぶんブラジル盤の方が高いと思うが音質的価値は低いと思う。でも南米の粗末なジャケットや雑なレコードの作りがいいんだよな〜という輩も多いのも事実で全くおかしな世界である

勝率は5割  〜booker little & friend〜

ヤフーのオークションでの話である。盤質に人一倍こだわる僕にとってヤフオクはとても危険な場所。しかし、美品もしくは音の出るキズはなしなどと書いてあるとつい信用してしまう。コメントを読んで慎重に入札しても今まで落札したレコード(3、40枚)中、満足した盤質は約半分・・・半分はどぶに捨てたような感じである。もちろん最初は美品というにはあまりに酷いのではないでしょうか?などと文句を言って返却したが、最近では(遊んでいる部分も多いので)入札した自分が悪いとあきらめている。それでも懲りずに長年機会がなく入手できないでいたレコードが載っているとつい入札してしまう。ヤフオクが一般的になってから一般中古屋でのタマが不足していると聴いたことがある。ユニオンでも以前比べレコードが集まりにくくなったと言っていたが、キズ盤でもそこそこの値段がつくオークションの方が中古店で値切られるよりも良いのは当然か?

鑑定団で20万の値段が付けられていたとブルーノートの日本盤(キング?)を(ある程度出てくるだろうなと予想していたが)ヤフオクで10万で堂々と載せているとんだ勘違いをしている人や流通価格どう考えても数千円のレコードに十六万円付けている人など、餌にかかるのを待っているような一部のバイヤーがヤフオクの信頼度を著しく低下させている。一つ気になったのは80年前後に日本のある会社が外注したらしい輸入版「海賊版ワルツ・フォー・デビー」。中古店でも音質が酷く人気がないため1〜2000円台でよく転がっているのに1万以上で競っていた。気の毒と言おうか・・・もう少し知識を付けてから高価なレコードは入札すべきである

名盤になる条件 〜SANDY MOSSE〜

名盤が言い尽くされた今日、話題性がないのかB級のそこそこ聞けるレコードを見つけ出しては隠れ名盤などと大騒ぎするジャズ評論家?がもてはやされるようだ。雑誌も雑誌だが読者も読者である。しかしながら大騒ぎする割には期待はずれのものばかりで、やはり今日でもB級レベルのものはB級で名盤になりえない。

そんな中、「SANDY MOSSE 'relaxin'」も雑誌で取り上げられ評判になったらしい1枚。しかし内容以前に気になるのがARGOにしてはあまり録音が良くないのだ。これでは演奏をじっくりと聴いてやろうとする気にすらなれない。B級、C級ミュージシャンのレコードの中に「自分だけの隠れ名盤」が多数あるのは間違えないが、その「隠れ名盤」になるために大きく左右するのが、まず録音が優秀かどうかであろう。彼の唯一のリーダー作はこれ1枚で終わっているが、気の毒なことに録音が悪いと柔らかな音色のテナー吹きには(名盤と言われる)条件が益々不利になる

さて、B級、C級ミュージシャンが名盤になる条件には前述のように演奏内容以上に録音の善し悪しが左右すると感じる。名盤でもバンゲルダーの録音に救われているアーティストもいるのではないだろうか?もしもバンゲルダーがいなければ名盤の数は激減したのかもしれない。

OLYMPUS E-20
デジカメの進化はすごいものがあり、少し前に買ったカメラがとても古く感じる。当時まぁまぁの人気だったE-20も出番が少なくなり、隠れ家でジャケット撮り専用のカメラに・・・つい最近ストロボを使いジャケットを撮るようになってから再びE-20が楽しくなってきた。動作は少し遅く最新機種のようにキビキビと動かないが同じ500万画素のコンパクトカメラよりに画質はよい。じっくりと撮るには良いのだがマニュアル・フォーカスを使うとピントを外す摩訶不思議なカメラ。(E-300+ZUIKO DIGITAL 14-45mm F3.5-5.6)

出来具合はまだまだだが、ダイナミック・オーディオ・サウンドハウスのA氏の部屋に、このカメラで撮ったジャケットをA2のポスターにして貼らしていただいているので秋葉原によったときにでも見てください。(エプソンPM-7000Cで出力)

Bridge Over Troubled Water / Simon and Garfunkel

僕らの時代にはロックの名盤と言われているレコードをほとんどリアルタイムで聴いていた時代、その中でも【サージャント・ペッパーズ/ビートルズ、メインストリートのならず者/Rストーンズ、宮殿/Kクリムゾン、原始心母/Pフロイド、明日に架ける橋/S&G】の5枚は今後、不滅の名作になるであろうと言われていた。しかしロックも70年前後に頂点だったようだ。60歳を迎えたロッカーたちがいまだに健在だと言うことでもわかる。ジャズが黄金時代を迎えた50年代に数々の名作が生まれたのと同じ理由であろうか?

さて、最近ロックのレコードはUK盤に人気があるようで、比べてみると確かにUK盤とUS盤は音が違う。US盤は力強さがあり開放感があり、UK盤は緻密で繊細な音質でロック全体にそのような傾向があるがジャズ以上にソースの音の違いがわかると思う。ロック相場はオリジナル盤(マトリックスNo)、各種高音質盤などジャズ以上に音の善し悪しに左右されるようだが、解せないのは日本盤の帯に値段がつくことで音質よりも骨董的な貴重性なのか?

僕の愛聴盤でもある明日に架ける橋も当然のように音質が違うが繊細で綺麗なUK盤よりもおおらかで開放的なUS盤のほうが聴く機会が多いが、ロックに関しては音源は無限大にあるのでプレス国や時期、高音質専門会社などすべての聴き比べは難しい

OFFERING / CARPENTERS

2回続けてポップスの話。カーペンターズの1stレコードである「OFFERING」は発売直後に回収され「TICKET TO RIDE」として新たにジャケットと題名を変え発売された。回収理由はカレン・カーペンターがジャケット写真にクレームを入れたと言われているが、よくわからない。(デビューレコードに萎びたヒマワリじゃ誰でも怒るかな?)このレコードはカーペンターズのファンにはレア盤として知られている

カーペンターズのレコードは日本で売れに売れたため、ゴミみたいな値段でエサ箱にあるので1stレコードを除いては比較的簡単に入手することができる。しかし最近は(もちろんオリジナルUS盤だが)見かけることが少なくなった。オーディオファンでもカレンの歌声を聴く人が多いと思うが、不思議とどんな装置でも気持ちよく聴ける声質である。しかし前述した通り、UK盤とUS盤とでは微妙に声質が違ってくる。UK盤ではカレンの甘い中域は薄れ高域ばかり目立つが、カレンのふくよかで甘い歌声はUS盤でないとうまく再生できない・・・と感じているのは僕一人かもしれない。皆さんはどう感じるだろう?ボーカル再生は微妙に難しい。

写真はプロモ・ラベル

JAZZ FOR THE CARRIAGE TRADE / GEORGE WALLINGTON

ウォーリントンといえば幻の名盤として名高い「アット・ザ・カフェ・ボヘミア」の陰に隠れて本作の印象が薄いが、ハードバップの秀作としてボヘミアと比較しても決して劣らないレコードであると思う。本作がそれほど話題にならないのはボヘミアに比べバンゲルダーの録音がほんの少し悪く、この要因が大きいのではないかと感じている。しかしバンゲルダーがプレスティッジに残した独特の音質がここにあり、以後これに沿った音作りがされていて初期のプレスティッジの基本的な音が詰め込まれているレコード。プレスティッジ録音に於いてニュージャズ前後からバンゲルダーはまた独特の凄みが出てくるが、(ブルーノートでも同じであるが)そのように録音初期から中期へ移行するときの面白さが体感できるのはオリジナル・コレクターの特権であろう

さて、このレコード実はコレクター泣かせのレコードである。B面の「What's New」が音割れする。それも音楽鑑賞が出来ないくらい音割れするのである。どんなに綺麗なレコードでも、こればかりは聞いてみてみないと分からない。たいていのコレクターは買い直しを余儀なくされるレコードで、僕も2回ほど買い直している。だがコレクターの中には音割れするレコードが最初に発売されたレコードだと主張する人もいるが、どうなのであろう?

Free Jazz

主にモダンジャズをこのHPで取り上げているが、じつはフリージャズもまだ気になる存在である。僕がフリーを聞くようになったのは80年代で、当時ヨーロッパ以上に集めにくかったのが70年前後の日本のフリージャズだった。この頃の日本のフリージャズはなかなか面白く今でも僕の愛聴盤となっている

当時のレコードの解説は恐ろしく難解で、フリージャズという音楽を言葉で解説しているライターは知的に感じた。
(抽象的なものを言葉で言い換えると難解になるのは仕方ないのかもしれないが、この難解な解説のおかげか?)70年頃のフリーのブームで何やらジャズは難解な音楽で、知的なものだと勘違いする人が増えたようだが、フリーにしろモダンにしろ理屈抜きで楽しめる(感じる)からこそ楽しいのである
クラシック聞いているから偉い、いやジャズ聞いているから人とはちがうんだ。歌謡曲聞いている奴は・・・。などと言うレコードコレクターが多いが音楽をそのような見方しかできない人とはお友達にならない方がお利口のようだ

日本のフリージャズ愛聴盤の中には素晴らしい録音のものが多く、とくにテイチクレコードのSX68シリーズは今の水準でも追いつけないほどの高音質である。SX68は有名なノイマンのカティングヘッドで、これとVMS66というカッティングレーサーとの組み合わせに、よほど当時テイチクレコードは自信があったのだろう。このシリーズのレコードは裏解説(ライナー)であるが、ジャケットの中にカッティングに関するライナーも付けている
どうも日本のレコード会社はこうした有名な機器を使っているから高音質であると宣伝するが、このような録音ができたのも感性の鋭いエンジニアが、たまたまこの時期に存在していたからでレコード前面に出ているSX68の宣伝文句のような機器などの影響はそれほど大きくないと感じている

free jazz 2

入手しにくい日本のフリージャズ・レコードは何も日本人だけではない。海外のフリージャズ・プレーヤーがたびたび来日し、絶頂期の貴重な記録を残している。ジョン・サーマンもその一人で70年に来日したときに「さび」や「Room 1220」などを録音していて、入手するまで大変に苦労した経験がある。それ以上に貴重な録音をジョン・サーマンは日本盤に残している。この録音は日本で録られたものではなく、サーマン自信が来日した際、録音テープをレコード会社に渡して発売となった「THE TRIO BY CONTACT」。このレコードはおそらくジョン・サーマンの最高傑作の一つで今でも人気があり、意外と探している人が多い
80年後半(記憶は曖昧だが)英ogunから再発されたがそれまではオリジナル盤でしか聞けない貴重なレコードだった。フリーが苦手の人でも十分受け入れられる内容で、そのフリージャズの面白さ、凄さを堪能してほしいレコード。再発の英ogun(黄色のジャケットでタイトルはTrio)でしたら中古屋で1〜2千円くらいで見かけるので、機会があれば度胸試しをしてはいかが?

※「Room 1220」の録音エンジニアは菅野沖彦

JANET SEIDEL 〜 MOON OF MANAKOORA 〜

free jazzを3回続けるのは・・・と思い急遽、原稿を書き直しました。また機会があったら少し書いてみたいと思います

自宅にレコードがなくなり、CDでしか音楽が聴けなくなった。しかし、CDが自分なりにうまく鳴るようになり楽しくもある。
使用機器はマランツCD-19→マランツ7→サウンドフクオカ(EL34PP)→テレフンケンTL-30
テレフンケンTL-30は小型の壁掛け用の安っぽいスピーカー(実売価格5〜8万くらいかな?)で2ウェイ3スピーカーだが抜群の音質。音質的には(デコラを除くと)所有の機器で一番のお気に入り。ほんの少しだが、この組み合わせによる音には自信がある

スピーカー裏面にあるスイッチはツイーター切り替えスイッチでフルレンジにも2ウェイにもなり、2種類の音色を楽しむことが出来る
オーディオ機器自慢はこれまで・・・

最近そんな訳でCDを聴きまくっているが、お気に入りのCDを購入しようとすると日本先行発売?輸入盤がない??・・・理由を尋ねてみると、輸入業者とレコード会社の密接な関係で輸入盤は2ヶ月遅れで販売とのこと。とくにボーカルはCDでも音質が異なる場合が多いのでオーディオファン的には大問題である。商売的にはわかるが趣味性の高いCDなどをこのように規制すると、ますますCD離れが進みネット配信を加速するだけであると思うのだが、レコード会社の上の人はそれでCD販売が伸びると思っているらしく、全くの勘違いであると思う

さて、このCDは夏に向けお薦めの一枚。購入するときに帯に大評論家??のT先生の解説が・・・ちょっと、躊躇してしまった。残念なことにT先生のお薦めは正に玉石混淆、一貫性がなく、さらに後日「あの時にはそう思った」などと、無責任??な評論には全く困ったもの・・・

夏を感じさせてくれる1枚で、恋人と聴くといっそう雰囲気を盛り上げてくれる。しかし輸入盤発売が夏の終わりとは残念でならない。前にも書いたがそれほどボーカルは微妙なのだ

・・・・・ちょっとめずらしい?じゃず・レコード盤??? Vol.21に続く・・・・・