はじめてのアナログ・プレーヤーVol.2

Vol.1で基本的な使い方を書きましたが、その他のお話を少し・・・


悩ましいスタイルのオルトフォン・アーム

スタティックバランス・アームとダイナミックバランス・アーム

全てのトーンアームはこの2つの方式いずれかに属す。針圧の掛け方の違いで、スタティックバランス型は重力で、またダイナミックバランス型はバネ力を利用します。
特徴としてはスタティックバランス型a. 軽針圧に於いて精度が高く、 b. 品質管理がしやすい、ダイナミックバランス型a. 多少プレーヤーが傾いてもトレース性能に影響が少なく、 b. 反りのあるレコードに強いがあげられますが、どちらも設計、素材、加工精度の関係でどちらが有利かは一概にいえません
ダイナミックバランス型はマイクロ精機、FR、ダイナベクター、オルトフォン、トーレンス、EMTなどでスタティックバランス型はSMEに代表されるようにトーンアームの大多数を占めています

針圧が軽すぎると針やレコードを痛める?

針やレコードの摩耗を気にして指定値よりも軽い針圧では逆効果。軽すぎる針圧では大きな変調溝にさしかかったときに、又は反りのあるレコードでは部分的にトレース能力が不足して音溝から浮き上がり、着地する瞬間に針圧の何倍もの大きな衝撃が加わり針先や音溝に損傷を与えるため、針圧は軽すぎるよりも重すぎる方がむしろ安全だといわれています


80年前後のオーディオ・ブームの時に
大ヒットしたオルトフォン・MC20mark2
当時は適正針圧よりもほんの少し重めで使用


スタティックバランス型の
軽針圧用SME・トーンアーム

アームの形状

トーンアームの形状にはS字形、J字形、ストレート形が存在するが特徴はというと、多く使用されているS字形はヘッドシェルにより色々なカートリッジを使用でき、左右方向のバランスのよさがポイントで2カ所の変曲点により共振モードが複雑にのり、にぎやかな傾向の音調。SMEでおなじみのJ字形は先端部の曲がりでオフセット・アングルを得るだけのシンプルな作りで、変曲点が1カ所でストレート・タイプに近い共振モードで処理されるのですっきりとした音調。ストレート形は1本のアームとして動作し、濁りの少ないクリアーな音調だがシェル規格がバラバラのため互換性がなく、ラテラル・バランスを取る必要があり使い勝手が悪いなどの特徴があるといわれている
しかしカートリッジとの相性もあるので感覚的に把握しているだけで良いと思う

リム・ドライブ、ベルト・ドライブ、ダイレクト・ドライブ

ガラードに代表されるリム・ドライブはモーターの回転をターンテーブルの縁(リム)に伝える方法で、モーター軸とリムの間にゴムの車輪(アイドラー)を付け、回転速度切り替えに便利なように工夫されているが加工精度の問題などがあり性能的には限界があるとされる

マイクロ精機に代表されるベルト(糸)ドライブはモーターの回転をベルト又は糸でターンテーブルに伝える方法でベルトの材質でモーターの振動が吸収されターンテーブルに伝わらないことや、ターンテーブルの質量が大きければモーターの多少の回転ムラも影響しない利点があるとされる

テクニクスに代表されるダイレクト・ドライブは回転ムラやガタなどのトラブルが回転伝達構造から多く発生するので伝達構造を無くしてモーター軸に直接ターンテーブルを載せた方式で回転部分の騒音もなければ、摩耗も少ないというターンテーブルとして理想的な結果を出せる


使ってみるとその素晴らしさがわかる
トーレンス124


トーレンス124のベルトとリムドライブ
による回転伝達構造

ターンテーブルの実際

駆動方式をみればダイレクト・ドライブが優れているが実際はどうであろう?私のごく私的感想なので参考までにしていただきたい

リムドライブのガラードを長く使っているが力強さや迫力にはこれ以上のプレーヤは無いと感じるがSNが取れない、繊細さに欠けるなどの欠点もある

ベルト(糸)ドライブはかつてマイクロを使っていた。SNは素晴らしく、また艶やかな音がするが迫力という点ではもう一歩

ダイレクト・ドライブはオーディオをやり始めの頃使っていただけで経験はすくない。コメントは避けたいが強いて言うならばSNや迫力は申し分ないが艶が少ない気がする

この他、初期トーレンスなどはリム、ベルトを合わせた構造を持つが繊細さや緻密さを感じるが迫力の点は糸ドライブ同様、今一歩。

どの方式も一長一短だがトーンアームやカートリッヂ、キャビネットなどの選択で十分に欠点を補えると確信している。


この他、思いついたことがあれば書いてゆくつもりです