はじめてのアナログ・プレーヤーVol.1

基本的な使い方を書きましたが、初めての方はプレーヤー付属の取り説を熟読してください


なるべく頑丈な台にプレーヤーを載せる

1.アナログ・プレーヤー設置場所

アナログ・レコードの再生で最も重要な点は、レコード盤自体しっかりと固定されていて、カートリッジのカンチレバーが正しくレコード盤上の音溝をたどることである。プレーヤー・システムが不安定であったり、何らかの外部振動が伝わるとカンチレバーが正しく音溝を追従できないので、振動に注意して、床の構造がしっかりした場所を選ぶ。
プレーヤー設置台などもしっかりとした台を選ぶべきで特にスピーカーからの振動、音圧を受けにくい重量のある台をお勧めする

2.プレーヤーを水平に設置すること

プレーヤーが傾いていると、傾いている方向に向かってアームが流れやすくなるために内・外周方向へのバランスを取るためのインサイド・フォース・キャンセラーやアンチスケーティング機能が正常に動作できない。そのためにステレオ再生ではアームがいずれか一方に引かれると片壁に強く押しつけられるので左右のバランスが崩れたり、中央音像が片寄ったりフラつくようになる


安価な水準器で十分役立つ


市販のストロボ・スコープ

3.正しい回転しなけりゃ意味がない

特にベルトドライブや糸ドライブ、リムドライブなどはベルトや糸の張力やゴムのヘタリなどの経年変化を考えると市販のストロボスコープなどで回転数をチェックする必要がある

4.カートリッジの取り付けの注意点

a.オーバーハング
一般のアームはアーム・ベースを支点として円形にレコードをトレースしていくので、カッターラインと誤差を生じる。(トラッキング・エラー)誤差を少なくするためアームの中心線よりカートリッジに角度を付けるオフセット・アングルとオーバーハングで誤差が少なくなるように設計されている
オーバーハングはアームの設計法によって異なるが一般には13〜15mmが平均値である


SMEにはオーバーハング・ゲージが付いている


銅板のターンテーブルシートも鏡の代わり
b.垂直性
トーン・アームへシェルに固定したカートリッジをセットしたら、カガミをおいてカートリッジが左右に傾くことがなく、針が垂直にレコード盤に接触しているか確かめる。左右に傾くとセパレーションが劣化し、チャンネル・バランスが崩れるし、トレース能力が悪くなり時にはビリつくような現象も現れるので注意されたい。アーム側で傾き調整ができないトーン・アームもあるので、その時には傾きを調整できるシェルを購入する

5.アームの調整の注意点

a.高さ調整
一般にカートリッジは、適正針圧を加えアームとレコード面を平行に保つと、正しいバーチカル・トラッキング・アングルが得られるように考えられている。
しかし微妙にアームベースを下げるとトレーシング能力があがり安定するし、アームベースをあげると高域が伸びるようになる。この辺は経験的ノウハウである
バーチカル・トラッキング・アングル:適正針圧を加えたとき、レコード面とカンチレバーの角度


高さ調整一つにも経験がものをいう


高価な針圧計だが価値はある
b.バランス調整と針圧
インサイドフォース・キャンセラーをゼロにして水平バランスを取り、針圧を加えるが、室温が上昇するとカートリッジのダンパーが柔らかくなるのでメーカー推称値でよいが下がった場合、少し(10%ほど)針圧を増すという使い方で飛躍的に音質が良くなる場合がある
電子針圧計は高価だがそれだけの価値はあるので用意してもらいたい、いかにアームの針圧メモリがいい加減か判る
c.ラテラル・バランス調整
ラテラル・バランス調整とは、アームの左右方向の傾きの対する調整のこと。たとえば水平バランスを取った状態でプレーヤー本体を少し傾ける、ラテラル・バランスが取れているとアームが動かない。動く場合はラテラルバランサーで調整する。基本的にはメイン・ウェイトのバランス位置が変わるたびに調整することが望ましいが、アームによってはそれほど神経質になる必要もないと感じている


FR-64sの主軸部
各アームによって調整の仕方がある


SME3012proの主軸部
取り説を熟読してまずはアームに慣れること
d.インサイドフォース・キャンセラーとアンチ・スケーティング調整
二つとも適正針圧で調整を行う。
インサイドフォース・キャンセラーはアナログ・ディスクでは外周から内周にトレースするために内向力が働き、調整しないと針が片側に押しつけられチャンネル・バランスを崩したり、トレーシング能力が落ち、ビリついたりする。一般的にはアウトサイド・フォースは針圧に比例するので針圧に見合う値を加える
アンチ・スケーティング調整とはアナログ・ディスクの最外周には音溝に針を誘導するための案内溝があるがレコードの最外周がふくらんでいるために斜面に案内溝があり針を落とすが斜面のために内側にスリップする。そこで外側に外力を加えてスリップを防止するように調整する
実際にはガイド溝ではアンチ・スケーティングとして働き、以降インサイドフォース・キャンセラーとして働くと考えて良いと思う

・・・はじめてのアナログ・プレーヤーVol.2・・・